乾燥地形にみられる侵食輪廻。アメリカの地理学・地質学者W・M・デービスにより提唱された(1905)。彼は乾燥地帯を特殊気候地帯とみなし、ここでは正規(湿潤)輪廻とは異なった地形輪廻(侵食輪廻)がみられるとして、アメリカ合衆国西部の断層地帯をモデルにして説明した(地形が隆起すると、同じ過程で地形が変化を繰り返すという見解があり、地形輪廻とよばれている)。彼の提唱した地形発達のモデルは以下のようなものである。
(1)幼年期 断層運動で山地と盆地が形成されると、山地前面は盛んに侵食され、その前面に連続した扇状地すなわちバハダbajada, bahadaが形成される。
(2)壮年期 山地がその勾配(こうばい)を変えずに後退し、その前面にバハダのかわりに緩勾配の侵食斜面であるペディメントpedimentが形成され、さらに山地が山塊に分かれてくる。
(3)老年期 ペディメントが拡大し、山塊は孤立丘(インゼルベルクInselberg)となって散在する。
(4)終末地形 インゼルベルクも消滅しペディプレーンpediplainとなる。
乾燥地帯の山地はその斜面勾配を変えずに後退するが、湿潤地帯では壮年期以降、斜面がしだいに低勾配となって波状の終末地形となり、この点に相違がある。
[赤木祥彦]
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