(読み)ゴ

精選版 日本国語大辞典 「互」の意味・読み・例文・類語

たがいたがひ【互】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「たがい(違)」と同語源 ) 両者が同じようなことをし合うさま。同じ状態にあるさま。また、その両者。双方。→たがい(互)に
    1. [初出の実例]「互の恩を忘む、此、不思ざる事也」(出典:今昔物語集(1120頃か)一〇)
    2. 「人とむかひたれば詞おほく、身も草臥(くたびれ)心も閑ならず。万の事さはりて時をうつす。たがひのため益なし」(出典徒然草(1331頃)一七〇)

かたみ【互】

  1. 〘 名詞 〙 たがい。おたがい。「に」を伴って副詞的にも用いる。→かたみに
    1. [初出の実例]「ありしやうに、かたみうらなくも思しめされたらぬも、さすがにいとくるしく」(出典:夜の寝覚(1045‐68頃)四)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「互」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 4画

(異体字)
10画

[字音]
[字訓] たがいに・たがう

[説文解字]

[字形] 象形
縄(なわ)巻きの器の形。〔説文〕五上に正字をに作り、「以て繩を收むべきなり。竹に從ひ、象形」とし、「中は人の手の推握するに象るなり」という。交互に巻き進めるので交互の意となり、相互の意となり、また差互の意となる。

[訓義]
1. なわまき。
2. たがいにまく、たがいにする、かたみに、かわるがわる、たがい、たがいに。
3. たがう、ちがう。

[古辞書の訓]
名義抄〕互 タガヒニ・タガフ/差互 カタチガヒ 〔立〕互 ハヅカシムル・タガヒ・タガヘテ 〔字鏡集〕互 イロフ・タガヒ・タガフ

[声系]
〔説文〕に互声として(互)・など三字を収める。みな交互の意をとる字である。

[語系]
互ha、五・午nga、ngea、(逆)ngyakは声義近く、みな交互・差互の意があり、同じ語系とみてよい。

[熟語]
互易互訓互結互言互交互錯・互市・互助・互証・互譲互折互瞻・互代・互物・互文互保・互用
[下接語]
回互・乖互・互・疑互・交互・錯互参互舛互・相互・逓互・紛互・綿互・連互

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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