京都アニメーション

デジタル大辞泉プラスの解説

日本のアニメーション制作会社のひとつ。本社所在地は京都府宇治市。正称「株式会社京都アニメーション」。1981年「京都アニメスタジオ」として創業。のちに改称し、1985年に法人化。「涼宮ハルヒの憂鬱」「けいおん!」「らき☆すた」などのアニメ作品をヒットさせ、キャラクター事業や出版事業も展開している。通称京アニ」。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

知恵蔵の解説

京都府宇治市に本社を置く、日本のアニメーション制作会社。美しく、丁寧な作画や繊細な心理描写を特徴とした質の高い作品を制作し続け、国内外から高い評価を得ている。通称「京アニ」。2019年7月18日、制作拠点の一つである京都市伏見区の第1スタジオで放火殺人事件が起こり、従業員35人が亡くなり、34人が負傷した。
京アニは1981年、八田英明社長の妻で、漫画家、故手塚治虫の「虫プロダクション」で働いた経験がある陽子専務が、「京都アニメスタジオ」として創業した。当初は、近所の主婦らを集め、下請けでセルに色を塗る「仕上げ」をしていたが、85年に英明社長が会社を設立し、作画や演出などの工程も手掛けるようになった。外注やフリーランスに頼って作品づくりを進めることが多いアニメ業界では、スタッフの低賃金、長時間労働が問題視されているが、京アニはスタッフを正社員として雇用して給与や福利厚生を充実させ、人材の育成に力を注いできた。そして社内に技術が蓄積され、優秀な人材が集まったことから、安定した質の高い作品を制作できるようになった。東京一極集中のアニメ業界において、京都を拠点に制作活動を続ける京アニは異色の存在で、地方でスタジオが設立されたり、制作拠点が設けられたりする流れにもつながった。
2000年代ごろからオリジナル作品に力を入れるようになり、テレビアニメや映画で多くのヒット作を生み出した。代表作品には、SF風学園ドラマ「涼宮ハルヒの憂鬱(ゆううつ)」(2006年)、女子高生の日常をコミカルに描き、「聖地巡礼」ブームを起こした「らき☆すた」(07年)、高校の軽音部でバンドを組む女子高生5人組の物語「けいおん!」(09年)、コンクール全国大会出場を目指す吹奏楽部の高校生らを描いた「響け!ユーフォニアム」(2015年)、聴覚障害がある女の子と元いじめっ子の男の子の物語で、日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞した「映画 聲(こえ)の形」(16年)などがある。
第1スタジオの放火殺人事件は、19年7月18日午前10時半ごろに発生した。さいたま市在住の職業不詳の男が、スタジオ内に侵入してガソリンをまき、火をつけたことで爆発が起こり、鉄筋コンクリート3階建ての建物が全焼した。男は火災発生直後に京都府警の捜査員に確保されたが、全身にやけどを負った。府警は殺人などの容疑で男の逮捕状を取得したが、19年8月現在、重篤な状態で治療を受けている。
犠牲者の中には、京アニの作品づくりの土台を築いたベテラン監督やヒット作品を手掛けた監督、気鋭の主力アニメーターのほか、若手も多く含まれており、アニメ関係者やファンらに大きな衝撃を与えた。第1スタジオの近くに設けられた献花台には、事件以降、国内外から多くのファンらが訪れた。また、同社の口座には、19年8月17日現在、国内外の個人や法人から19億円以上の支援金が寄せられている。
この事件では、被害者の実名・匿名報道のあり方について議論が起こっている。京都府警は、事件から約2週間後の8月2日、亡くなった35人のうち、遺族側の了承が得られた10人の身元を公表した。府警は、事件の1週間後にはDNA型鑑定などでその時点で亡くなっていた34人の身元をすべて特定していたが、京アニ側が匿名での発表を要望していたことから、同社や遺族らと協議を重ね、一部の犠牲者の身元公表に至った。
8月27日、府警は新たに被害者25人の身元を公表した。
また、容疑者の男が事件前にガソリンスタンドでガソリンを購入したことから、ガソリンの販売規制強化を求める声も上がっている。現状では、金属製の携行缶を持参するなど一定の条件を満たせば、ガソリンスタンドでガソリンを購入できる。消防庁は事件後の7月25日、ガソリンスタンドに対して、ガソリンの販売時に購入者の身元や使用目的を確認し、記録の保存を求めるよう、全国の自治体や業界団体に通達した。

(南 文枝 ライター/2019年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

京都府宇治市に本社を置く1981年創業のアニメ制作会社。下請けから出発して業界準大手に成長し、グッズショップや出版も手がける。「けいおん!」「Free!」「響け!ユーフォニアム」などの人気シリーズを生み、多くの作品が映画化。東京に制作会社が集中する業界で「京都からの発信」にこだわり、京都が舞台の作品も目立つ。描き込みの多い丁寧な作画が持ち味で、「京アニクオリティー」という言葉が生まれるほど国内外にファンが多い。

(2019-07-19 朝日新聞 朝刊 1総合)

出典 朝日新聞掲載「キーワード」朝日新聞掲載「キーワード」について 情報

今日のキーワード

アルコール依存症

飲酒によって一時的に、不安や緊張感、気分の落ち込みなどが緩和されるが、次第に飲まずにはいられない精神状態になり、同じような酔いを得るための飲酒量が増大していく(耐性)。身に付いてしまった大量頻繁な飲酒...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

京都アニメーションの関連情報