日本大百科全書(ニッポニカ) 「人工海岸」の意味・わかりやすい解説
人工海岸
じんこうかいがん
artificial beach
侵食作用を受けて砂浜が大きく失われた海岸、あるいは埋立てなどにより消失した砂浜を復原するため、砂浜を維持する目的で突堤や離岸堤などの構造物を用い、砂・砂利などを補給して人為的に造成した海岸。日本の各地で造成されている。人工海岸の造成にあたっては、計画地点における年間を通じての気象条件、波・潮汐(ちょうせき)・流れなどの海象条件、周辺における河川の状況、港湾・漁港・下水処理場など各種施設の影響を十分に調査し、自然の力を利用して、造成された砂浜海岸ができる限り良好に維持されるように設計する。補給砂の粒径は現地のそれと同等か、あるいはやや粗めのものが望ましく、水深が大きい場合には下層に砕石・砂利を投入し、上層に敷砂する。また間隔を300~500メートル程度とした突堤を設け、状況に応じて沖合いに離岸堤を設ける。海浜勾配(こうばい)は数十分の1、場合によっては水面下に没する潜堤を設けて、海岸先端の砂止めとすることもある。
[堀口孝男]