改訂新版 世界大百科事典 「付属機関」の意味・わかりやすい解説
付属機関 (ふぞくきかん)
付属機関の概念は現行法上必ずしも統一的に使用されていないが,一般には,国または地方公共団体の行政機関などに,通常の内部部局から一応分離して付置される機関を指す。国家行政組織法は,付属機関概念自体を用いてはいないが,その種類を(1)審議会等=重要事項に関する調査審議,不服審査その他の学識経験者等の合議により処理することが適当な事務をつかさどるための合議制機関(8条。例,中央教育審議会,中央社会保険医療協議会,社会保険審査会など),(2)施設等機関=試験研究機関,検査検定機関,文教研修施設,医療更生施設,矯正収容施設および作業施設(8条の2。例,航空宇宙技術研究所,醸造試験所,国立学校,国立病院,刑務所など)および(3)特別の機関(8条の3。例,公害対策会議,日本学術会議など)の三つに区分し,(1)(2)は法律または政令で,(3)は法律で,府省・委員会および庁に置くことができるとする。このように,付属機関の内容は多種多様であるが,その特色は,傾向的には,特定の専門技術的事務を所掌事務としかつ専門技術的能力をもつ者により構成される機関である点にある。なお,付属機関の概念は,地方自治法上は,地方公共団体の執行機関に置くことができる自治紛争調停委員,審査会,審議会,調査会その他の調停,審査,諮問または調査のための機関を指すが(138条の4-3項,202条の3-1項,別表7),それはおおむね前述の(1)に該当すると考えられる。
執筆者:間田 穆
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報