江戸時代,江戸で公用徴収された町地に対して代償として与えられた土地をいう。江戸の都市計画は,初期においては徳川氏の政治的地位の向上と統治組織の整備にもとづく,江戸城の規模の拡大にともなう市街の発展のために,その後には人口の増加と明暦大火など大火の頻発に対処するものとして行われた。それは大名屋敷などの武家地や寺社地の整備と移転,そして防火用の火除地(ひよけち)としての空間地を設定することなどにおいて行われた。その結果は町地にも及んで,しばしば御用地として町はその一部あるいは全体を収公され,それに見合う代地を,場合によっては数ヵ所にも分散して周辺あるいは相当に隔たった所に与えられ,強制移転を命ぜられた。《御府内備考》によれば町の移転は享保年間(1716-36)以前に多く,1828年(文政11)ごろには,現在の千代田区,中央区辺の中心市街460町を除いた江戸市中全1186町のうち,30%を占める358町が移転により成立した代地町であった。
執筆者:松崎 欣一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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