伊丹十三(読み)イタミジュウゾウ

デジタル大辞泉 「伊丹十三」の意味・読み・例文・類語

いたみ‐じゅうぞう〔‐ジフザウ〕【伊丹十三】

[1933~1997]俳優映画監督京都の生まれ。本名、池内義弘。父は映画監督の伊丹万作演技派の俳優として特異な存在だったが、昭和59年(1984)の「お葬式」で映画監督に転向。ラーメン店を舞台とした「タンポポ」、国税局査察部で活躍する女性を描いた「マルサの女」など、それまで映画に取り上げられにくかった題材を扱い話題を集める。エッセイストとしても知られ、著書に「ヨーロッパ退屈日記」「女たちよ!」など。

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新撰 芸能人物事典 明治~平成 「伊丹十三」の解説

伊丹 十三
イタミ ジュウゾウ


職業
映画監督 俳優

本名
池内 義弘(イケウチ ヨシヒロ)

別名
通称=池内 岳彦

生年月日
昭和8年 5月15日

出生地
京都府 京都市右京区鳴滝泉谷

出身地
愛媛県

学歴
松山南高〔昭和29年〕卒,舞台芸術学院卒

経歴
昭和35年大映入社。“一三”の芸名で「嫌い嫌い嫌い」で俳優として主役デビュー。以後は脇役に回り、36年フリーとなる。米国映画「北京の55日」(38年)「ロードジム」(40年)に出演し、国際的俳優として活躍。42年“十三”と改名。その後の映画出演作に「もう頬づえはつかない」「細雪」「家族ゲーム」「草迷宮」ほか。多芸多才ぶりはつとに知られ、エッセイスト、翻訳家であり、商業デザイン、育児・料理・服飾評論なども手がけたこともある。59年自ら脚本を書き、演出し、妻で女優の宮本信子を主役にした映画「お葬式」で監督デビュー。毎日映画コンクールをはじめ、数々の賞を独占した。その後も宮本を主役に「タンポポ」「マルサの女」「マルサの女2」「あげまん」「大病人」「静かな生活」「スーパーの女」などを監督、好評を得る。63年にはホラー映画「スウィートホーム」の製作を担当。平成4年「ミンボーの女」発表後、暴漢に襲われ負傷(8年9月犯人は実刑判決となる)。この事件もとに、9年「マルタイの女」を製作。また同年三谷幸喜脚本の「3番テーブルの客」でテレビドラマを初演出した。著書に「女たちよ!」「ヨーロッパ退屈日記」「日本世間噺大系」「自分たちよ!」「『マルサの女』日記」「フランス料理と私と」、訳書に「主夫と生活」など多数

受賞
キネマ旬報賞助演男優賞(昭58年度)「家族ゲーム」「細雪」,藤本賞(第4回)〔昭和59年〕「お葬式」,ブルーリボン賞監督賞(第27回・昭59年度)「お葬式」,山路ふみ子賞(第8回)〔昭和59年〕,日本アカデミー賞監督賞・脚本賞(第8回・昭59年度)〔昭和60年〕「お葬式」,キネマ旬報賞日本映画作品賞・監督賞(昭59年度)「お葬式」,キネマ旬報賞監督賞・脚本賞(昭62年度)「マルサの女」,ゴールデン・アロー賞映画賞(第25回)〔昭和63年〕「マルサの女」「マルサの女2」,日本アカデミー賞監督賞・脚本賞(第11回・昭62年度)〔昭和63年〕「マルサの女」,日本映画テレビプロデューサー協会賞特別賞〔平成5年〕,ゴールデン・アロー賞映画賞(第30回)〔平成5年〕「ミンボーの女」 毎日映画コンクール監督賞(第39回・昭59年度)「お葬式」,毎日映画コンクール脚本賞(昭62年度)「マルサの女」

没年月日
平成9年 12月20日 (1997年)

家族
父=伊丹 万作(映画監督),妻=宮本 信子(女優),長男=池内 万作(俳優),二男=伊丹 万平(俳優)

親族
義弟=大江 健三郎(小説家)

伝記
自死という生き方―覚悟して逝った哲学者仮面の女と愛の輪廻伊丹十三の映画日本映画はアメリカでどう観られてきたか襲撃 伊丹十三監督傷害事件伊丹十三映画の舞台裏―大病人の大現場 須原 一秀 著虫明 亜呂無 著「考える人」編集部 編北野 圭介 著安田 雅企 著立木 義浩 撮影(発行元 双葉社清流出版新潮社平凡社三一書房集英社 ’09’09’07’05’95’93発行)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報

20世紀日本人名事典 「伊丹十三」の解説

伊丹 十三
イタミ ジュウゾウ

昭和・平成期の映画監督,俳優



生年
昭和8(1933)年5月15日

没年
平成9(1997)年12月20日

出生地
京都府京都市右京区鳴滝泉谷

出身地
愛媛県

本名
池内 義弘(イケウチ ヨシヒロ)

別名
通称=池内 岳彦

学歴〔年〕
松山南高〔昭和29年〕卒,舞台芸術学院卒

主な受賞名〔年〕
キネマ旬報賞助演男優賞(昭58年度)「家族ゲーム」「細雪」,ブルーリボン賞監督賞(第27回・昭59年度)「お葬式」,山路ふみ子賞(第8回)〔昭和59年〕,日本アカデミー賞監督賞・脚本賞(第8回・昭59年度)〔昭和60年〕「お葬式」,キネマ旬報賞日本映画作品賞・監督賞(昭59年度)「お葬式」,キネマ旬報賞監督賞・脚本賞(昭62年度)「マルサの女」,ゴールデン・アロー賞映画賞(第25回)〔昭和63年〕「マルサの女」「マルサの女2」,日本アカデミー賞監督賞・脚本賞(第11回・昭62年度)〔昭和63年〕「マルサの女」,ゴールデン・アロー賞映画賞(第30回)〔平成5年〕「ミンボーの女」

経歴
昭和35年大映入社。“一三”の芸名で「嫌い嫌い嫌い」で俳優として主役デビュー。以後は脇役に回り、36年フリーとなる。米国映画「北京の55日」(38年)「ロードジム」(40年)に出演し、国際的俳優として活躍。42年“十三”と改名。その後の映画出演作に「もう頰づえはつかない」「細雪」「家族ゲーム」「草迷宮」ほか。多芸多才ぶりはつとに知られ、エッセイスト、翻訳家であり、商業デザイン、育児・料理・服飾評論なども手がけたこともある。59年自ら脚本を書き、演出した映画「お葬式」で監督デビュー。毎日映画コンクールをはじめ、数々の賞を独占した。その後も「タンポポ」「マルサの女」「マルサの女2」「あげまん」「大病人」「静かな生活」「スーパーの女」などを監督、好評を得る。63年にはホラー映画「スウィートホーム」の製作を担当。平成4年「ミンボーの女」発表後、暴漢に襲われ負傷(8年9月犯人は実刑判決となる)。この事件をもとに、9年「マルタイの女」を製作。また同年三谷幸喜脚本の「3番テーブルの客」でテレビドラマを初演出。著書に「女たちよ!」「ヨーロッパ退屈日記」「日本世間噺大系」「自分たちよ!」「『マルサの女』日記」「フランス料理と私と」、訳書に「主夫と生活」など多数。夫人は女優の宮本信子。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「伊丹十三」の意味・わかりやすい解説

伊丹十三
いたみじゅうぞう
(1933―1997)

俳優、映画監督。京都府生まれ。父は映画監督の伊丹万作。本名、池内岳彦。1954年(昭和29)松山南高校を卒業。俳優として大映に入社し、1960年『嫌い嫌い嫌い』の主役でデビュー、以後もっぱら脇役で活躍。1963年『北京(ペキン)の55日』、1965年『ロード・ジム』とアメリカ映画に出演し国際的に活動した。1984年監督としての初作品『お葬式』がヒット、同作品で芸術選奨新人賞を受賞した。以後、監督として『タンポポ』『マルサの女』など異色作を発表。1992年(平成4)自作『ミンボーの女』の封切直後に暴漢に襲われ重傷を負った。エッセイストとしても知られ、著書に『ヨーロッパ退屈日記』『女たちよ!』などがある。妻は女優の宮本信子(みやもとのぶこ)。1997年12月20日、自殺。

[編集部]

資料 監督作品一覧

お葬式(1984)
タンポポ(1985)
マルサの女(1987)
マルサの女2(1988)
あげまん(1990)
ミンボーの女(1992)
大病人(1993)
静かな生活(1995)
スーパーの女(1996)
マルタイの女(1997)

『『ヨーロッパ退屈日記』『女たちよ!』(文春文庫)』

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百科事典マイペディア 「伊丹十三」の意味・わかりやすい解説

伊丹十三【いたみじゅうぞう】

俳優,映画監督。本名池内義弘。京都生れ。父は映画監督の伊丹万作。1954年松山南高卒。グラフィック・デザイナーをへて,1960年伊丹一三の名で俳優としてデビュー(1967年十三に改名)。ニコラス・レイ監督《北京の55日》(1963年),大島渚監督《日本春歌考》(1967年),寺山修司監督《草迷宮》(1979年)など多くの作品で個性派俳優として活躍。葬式をめぐる人間模様を描いた《お葬式》(1984年)以降はおもに映画監督として活動し,《タンポポ》(1985年),《マルサの女》(1987年),《ミンボーの女》(1992年),大江健三郎(義弟にあたる)原作《静かな生活》(1995年),《マルタイの女》(1997年)などを発表。《ヨーロッパ退屈日記》《女たちよ!》などのエッセーのほか,テレビ番組の演出などでも知られた。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「伊丹十三」の解説

伊丹十三 いたみ-じゅうぞう

1933-1997 昭和後期-平成時代の俳優,映画監督。
昭和8年5月15日生まれ。伊丹万作の長男。昭和35年伊丹一三(いちぞう)の名で映画デビュー。アメリカ映画「北京の55日」などに出演。44年宮本信子と結婚。59年「お葬式」を初監督,「タンポポ」「マルサの女」などのヒット作を生む。平成4年「ミンボーの女」公開後に暴力団員におそわれた。平成9年12月20日自殺。64歳。京都出身。松山南高卒。本名は池内義弘。

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367日誕生日大事典 「伊丹十三」の解説

伊丹 十三 (いたみ じゅうぞう)

生年月日:1933年5月15日
昭和時代;平成時代の映画監督;俳優
1997年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の伊丹十三の言及

【伊丹万作】より

…エッセイスト,映画理論家としても知られ,その著作は《伊丹万作全集》全3巻に収められている。俳優の伊丹十三はその長男,作家の大江健三郎は女婿である。【宇田川 幸洋】【山田 宏一】。…

※「伊丹十三」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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