伊尾村(読み)いおむら

日本歴史地名大系 「伊尾村」の解説

伊尾村
いおむら

[現在地名]甲山町伊尾

青近あおぢか村の東南に位置し、大田おおた(現芦田川)と、その支流矢多田やただ川・山田やまだ川の流域に展開する農村大田川流域に高田たかた谷・桑原くわばら谷・下津屋しもつや谷、矢多田川流域に甲斐村かいむら谷などがあり、山田川流域と西南赤屋あかや東上原ひがしうえはらの両村へ通じる一帯にはそれぞれ枝郷がみられる。松崎まつざき(現甲奴郡上下町)に飛郷がある。谷の周辺部の丘陵地を中心に多くの古墳があり、遺物の散布地もみられる。大田川流域の低地部には条里制の遺構も認められる。また村のほぼ中央に桑原の地名があるところから、「和名抄」所載の桑原郷および大田庄桑原方の中心地の一つであったと考えられる。永万二年(一一六六)二月日付備後国大田庄立券文案(高野山文書)には「伊尾村田弐町壱段」と「伊尾条畠」の内訳が記される。

建永元年(一二〇六)九月日付備後国大田庄桑原方伊尾公文清原高正起請文(同文書)には、当郷の公文清原氏が所当米を未進し、公文職を取上げられたことがみえ、欠年の七月一一日の三善康連書状(同文書)は、下津屋には古くから地頭の氏寺があり、同所の光延みつのぶ地頭名だとしている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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