分娩の際、腟および会陰部が限界まで伸びきった結果として生じる会陰部の裂傷をいいます。多くは正中部に発生します(図21)。初産婦に多い傾向があります。
予防のためには、十分な会陰の保護を行う必要があります。しかし、会陰保護のために会陰裂傷の予防にこだわりすぎると、分娩に時間がかかりすぎて胎児の状態を悪化させる可能性があります。裂傷の危険がある場合は、裂傷が生じる前に会陰を切開し、重度の裂傷の発生を予防するほうが合理的です。
腟および会陰部の伸展性が不十分で、児頭が大きく、急激に出口を通過するために起こります。
児頭の娩出時に会陰部に裂傷が生じ、出血します。腟の奥のほうに向かう腟壁(ちつへき)裂傷を伴うことが多いようです。
胎児の娩出後、ただちに診察し、裂傷の程度を確認します。裂傷はその深さによって以下のように分類されています。
①第1度会陰裂傷:会陰皮膚および腟粘膜のみに限局。
②第2度会陰裂傷:会陰筋層の裂傷を伴うが、肛門
④第4度会陰裂傷:裂傷が肛門粘膜や直腸粘膜に及んでいる。
裂傷の程度に応じて、適切に縫合・修復する必要があります。
海野 信也
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
おもに分娩(ぶんべん)時にみられる肛門(こうもん)と外陰部(陰裂下端)の間に生ずる損傷をいう。裂傷の程度によって1度から4度までに分類される。1度裂傷は会陰部の皮膚および皮下組織のみの裂傷で、2度裂傷はさらに会陰や腟壁(ちつへき)の深部筋層まで及んだものをいう。3度裂傷では肛門括約筋にまで達し、4度裂傷は直腸粘膜をも損傷するものをいう。これらの裂傷は、腟や会陰の伸展が十分でない初産婦や、胎児が大きいときに生じやすい。分娩後ただちに縫合すれば通常は後遺症を残さないが、感染したり血液がたまって血腫(けっしゅ)をつくると、縫合部が離開して治癒に日数を要することがある。4度裂傷で治癒が不完全な場合は、腟と直腸が通じてしまう直腸腟瘻(ろう)を形成することもある。
会陰裂傷を予防するため、介助者が児頭の通過をゆっくり進行させて会陰の急速な伸展を防ぐ会陰保護を行うことが、古くから行われてきた。しかし、目に見える会陰裂傷を生じていなくても、皮下組織や深部筋層の断裂あるいは過度伸展によって産後の腟壁の弛緩(しかん)を生じ、のちに性生活に不満を残すことがあるほか、あらかじめ切開しておいたほうが治癒が早く、直腸に達するような裂傷を生じにくいことなどから、会陰部がある程度伸展した時点で切開する会陰切開が行われることも多い。会陰切開は、切開部位によって正中切開法と正中側切開法に分けられる。
[新井正夫]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…縫合により治癒するが,感染すると糞瘻(ふんろう)を形成することがある。以上のような会陰裂傷を生じさせないようにする処置として会陰保護法がある。この介助法は児頭の会陰通過をなるべくゆっくり行わせ,さらに児頭の第3回旋を適切に行わせるものである。…
※「会陰裂傷」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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