会陰(読み)エイン

デジタル大辞泉 「会陰」の意味・読み・例文・類語

え‐いん〔ヱ‐〕【会陰】

外陰部肛門こうもんとの間の部分あり門渡とわたり。
広義には、医学で、左右の大腿だいたい臀部でんぶに囲まれた部分(骨盤下口を覆う軟部)をいう。前方恥骨結合後方尾骨側方を左右の坐骨ざこつ結節に囲まれた菱形ひしがたの領域で、前方の三角部を尿生殖三角、後方の三角部を肛門三角という。会陰部。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「会陰」の意味・わかりやすい解説

会陰
えいん

男性では陰嚢(いんのう)の後方の境から肛門(こうもん)までの間、女性では陰裂の後縁から肛門までの間をいう。男性の会陰は前後径5~6センチメートル、女性では2~3センチメートルである。この部分の皮膚の正中線には色素に富んだ会陰縫線(ほうせん)があり、男性では陰嚢縫線に続く。会陰部皮下には脂肪組織、平滑筋線維が多く存在し、その深部には横紋筋からなる会陰筋層がある。骨盤腔(こう)を上方からみると、骨盤下口を会陰筋が筋膜、腱膜(けんまく)とともにふさぎ、前方部は、男性では尿道、女性では尿道および腟(ちつ)が貫通し、後方部は直腸、肛門が通る。会陰筋のなかでは肛門挙筋外肛門括約筋、尿道括約筋などが主要な筋である。こうした会陰筋層は、前述の尿道などの骨盤内臓をのせ、さらに支えとなるわけで、ちょうどハンモックのような役割をしている。会陰をドイツ語でDammというが、堤防、支えの意味から、内臓を支える意味に使われた解剖用語である。

[嶋井和世]

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改訂新版 世界大百科事典 「会陰」の意味・わかりやすい解説

会陰 (えいん)
perineum

肛門と外陰部の間の狭い部分をいうが,広義にはその下にある会陰筋が含まれる。会陰筋は尿生殖隔膜と骨盤隔膜にわけられる。尿生殖隔膜は前方にあり恥骨結合と恥骨弓の間にあり,先端を前にむけた三角形を呈し,尿生殖三角ともいう。ここにある会陰筋は尿生殖筋群とよばれ,坐骨海綿体筋,球海綿体筋,浅会陰横筋の三つからなる。ここを男性では尿道,女性では尿道と腟が貫く。尿道を囲む部分が尿道括約筋である。

 骨盤隔膜は会陰のうち後方の大部分で左右の坐骨の間をいい,男女とも肛門が貫く。肛門筋群,すなわち肛門挙筋,外肛門括約筋,尾骨筋が存する。
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百科事典マイペディア 「会陰」の意味・わかりやすい解説

会陰【えいん】

広義には骨盤の出口をふさぐ軟部の総称。普通は肛門と外陰部の間をいう。男性では5〜6cm,女性はその半分くらい。会陰筋はすべて横紋筋で,分娩(ぶんべん),排便の際に働く。正中部に会陰縫線(ほうせん)というすじがあり,男性では陰嚢縫線に続く。〈アリの門渡(とわたり)〉という俗称は会陰縫線による。
→関連項目会陰裂傷

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「会陰」の意味・わかりやすい解説

会陰
えいん
perineum

男性では陰嚢と肛門の間,女性では陰裂下端と肛門の間の部分をいう。皮膚は色素に富み,内部に腹腔内の臓器を下から支える筋肉が存在する。

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