男性では陰嚢(いんのう)の後方の境から肛門(こうもん)までの間、女性では陰裂の後縁から肛門までの間をいう。男性の会陰は前後径5~6センチメートル、女性では2~3センチメートルである。この部分の皮膚の正中線には色素に富んだ会陰縫線(ほうせん)があり、男性では陰嚢縫線に続く。会陰部皮下には脂肪組織、平滑筋線維が多く存在し、その深部には横紋筋からなる会陰筋層がある。骨盤腔(こう)を上方からみると、骨盤下口を会陰筋が筋膜、腱膜(けんまく)とともにふさぎ、前方部は、男性では尿道、女性では尿道および腟(ちつ)が貫通し、後方部は直腸、肛門が通る。会陰筋のなかでは肛門挙筋、外肛門括約筋、尿道括約筋などが主要な筋である。こうした会陰筋層は、前述の尿道などの骨盤内臓をのせ、さらに支えとなるわけで、ちょうどハンモックのような役割をしている。会陰をドイツ語でDammというが、堤防、支えの意味から、内臓を支える意味に使われた解剖用語である。
[嶋井和世]
肛門と外陰部の間の狭い部分をいうが,広義にはその下にある会陰筋が含まれる。会陰筋は尿生殖隔膜と骨盤隔膜にわけられる。尿生殖隔膜は前方にあり恥骨結合と恥骨弓の間にあり,先端を前にむけた三角形を呈し,尿生殖三角ともいう。ここにある会陰筋は尿生殖筋群とよばれ,坐骨海綿体筋,球海綿体筋,浅会陰横筋の三つからなる。ここを男性では尿道,女性では尿道と腟が貫く。尿道を囲む部分が尿道括約筋である。
骨盤隔膜は会陰のうち後方の大部分で左右の坐骨の間をいい,男女とも肛門が貫く。肛門筋群,すなわち肛門挙筋,外肛門括約筋,尾骨筋が存する。
執筆者:藤田 尚男
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