低温脆性(読み)ていおんぜいせい

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

低温脆性
ていおんぜいせい
cold brittleness

通常の温度では延性材料とみなされる金属材料が、低温になると脆(もろ)く破断するようになる現象。体心立方晶や稠密(ちゅうみつ)六方晶の金属によくみられ、アルミニウム、銅、オーステナイト系ステンレス鋼などの面心立方晶の金属には生じない。鉄鋼材料の低温脆性はよく知られており、冬の気温程度の温度を境に脆性破壊を呈するようになる。破壊の伝播(でんぱ)速度はきわめて大きく、大型の鉄鋼構造物を瞬時に破壊に導く危険性をもつ。低温脆性を調べる試験には衝撃試験が用いられ、材料が破断するまでに吸収するエネルギーが、ある試験温度を境に急激に低下する。この温度は遷移温度とよばれ、不純物や合金元素の量、溶接などの加熱履歴や放射線の照射により変動する。[林 邦夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の低温脆性の言及

【脆性破壊】より

…ガラスや陶器といったいわゆる脆性材料が脆性破壊を起こすのはともかく,工業上問題となるのは,通常破壊に至るまでにかなりの塑性変形を伴う延性的な破壊挙動を示す金属材料が,条件によって脆性的な破壊挙動を示す場合があるということである。一般的には,亀裂状の欠陥の存在による高い応力集中,低温下における材料の延性の低下(低温脆性low temperature brittleness,cold shortness),および水素などによる材料に対する悪環境等が問題となる。このために引張強度,降伏応力等の機械的性質からのみ設計された構造物が大きな破壊事故に至った場合も多い。…

※「低温脆性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

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