何為(読み)なにしに

精選版 日本国語大辞典 「何為」の意味・読み・例文・類語

なに‐しに【何為】

〘副〙 (代名詞「なに」に動詞「する」の連用形「し」、格助詞「に」の付いてできたもの) 原因動機を不明なものとして指示する。どうして(…なのか)。なぜ、なんのために(…するのか)。
※竹取(9C末‐10C初)「何しにかなしきに見送奉らん」
人情本・春色梅美婦禰(1841‐42頃)初「外のお人と夫婦になるくらゐならば、何故(ナニシ)鎌倉まで行ますものか」

なに‐・する【何為】

〘自サ変〙
① 何をする。→なに(何)
② ある動作をいう際に、はっきりいわないでわざとぼかして表現する語。なんする。
真景累ケ淵(1869頃)〈三遊亭円朝〉九「私がつい何して、貰ふやうな事で」

なに‐すれぞ【何為】

〘副〙 (代名詞「なに」に動詞「する」の已然形「すれ」、係助詞「ぞ」が付いてできたもの) 理由・原因を不明のものとして指示する。どういうわけで(…するのか)。なぜ(…するのか)。
万葉(8C後)二〇・四三二三「時々の花は咲けども奈爾須礼曾(ナニスレソ)母とふ花の咲き出来ずけむ」

な‐すれぞ【何為】

〘副〙 (「なにすれぞ」が変化した「なんすれぞ」の「ん」の無表記。漢文訓読に用いられる) どうして。何故に。
※法華義疏長保四年点(1002)二「何為(ナスレソ)長劫短時と為ること能はざらむや」

なん‐・する【何為】

〘自サ変〙 =なにする(何為)
※人情本・春色梅児誉美(1832‐33)四「殊に病気最中来て、彼是世話をしてくれたからツイ何(ナン)したのだ」

なん‐すれぞ【何為】

〘副〙 「なにすれぞ(何為)」の変化した語。
※大日経義釈延久承保点(1074)九「何用(ナンスレソ)蓮花を観じて余花を観ぜぬや」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

普及版 字通 「何為」の読み・字形・画数・意味

【何為】なんすれぞ

どうして。なぜ。〔顔氏家訓帰心〕江河百谷、何れの處より生ずる。東してに到る。何爲れぞれざる。

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