作家の日記(読み)さっかのにっき(英語表記)Dnevnik pisatelya

改訂新版 世界大百科事典 「作家の日記」の意味・わかりやすい解説

作家の日記 (さっかのにっき)
Dnevnik pisatelya

ロシア作家ドストエフスキーの時事評論集。交友回想記や短編小説なども含む。1873年,週刊誌《市民Grazhdanin》に16編の《作家の日記》が載った。76年からは同名の月刊誌として2年余にわたり発行された。妊婦ヒステリーから戦争までの多種多様な時事問題を論じたこの日記によって,ドストエフスキーは予言者風警世家の地位を確立した。彼の論評原理は,個人も国家教会も文化もすべて感情的精神的生命体であると見る非経済学的主観である。その主観は愛国的独断に満ちているが,婦人解放や青少年問題についての洞察は今日でも新鮮である。日本では1920年(大正9)ころから翻訳紹介されたが,《作家の日記》の読者は,小説のそれに比べれば,格段に少ない。ロシアでも他の諸外国においても同様である。しかし,19世紀ロシアの国士作家ドストエフスキーの全体像を知るのに,これは不可欠の作品である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「作家の日記」の意味・わかりやすい解説

作家の日記
さっかのにっき
Dnevnik pisatelya

ロシアの作家 F.ドストエフスキーの作品。 1873年1月から 12月まで雑誌『市民』に掲載された文章と,76年から刊行した個人雑誌『作家の日記』に発表した文章の2つのグループに分けられる。内容は文芸批評,社会批評,自作に対する注釈,政治評論,随筆など幅広いジャンルにわたり,ドストエフスキーの思想を知るうえで必読の書。

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世界大百科事典(旧版)内の作家の日記の言及

【ウルフ】より

… 彼女はまた第1次大戦後の文学の理論的旗手として,人間の内面,その魂を直接描くことを主張し,《普通の読者》2巻(1925,32),《大佐の死床》(1950),《花コウ岩と虹》(1958)などにまとめられた文芸評論を発表しているが,男女問題についても,《私自身の部屋》(1929),《三ギニー》(1938)などの先駆的名著がある。なお夫レナードが抜粋編集した《作家の日記》(1953)は,彼女の作家的発展をよく示すとともに精神病理学的にも貴重である。【鈴木 建三】。…

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