便中に血液成分の混入があるかどうかを調べるための検査。便中には通常血液の混入はなく、血液反応が確認される場合は、がんや腺腫(せんしゅ)(ポリープ)、潰瘍(かいよう)、腸炎など、消化管からの出血がある可能性を示唆するものである。
検査には化学的方法と免疫学的方法がある。化学的方法は、血中のヘモグロビンがもつペルオキシダーゼ様作用を利用して、色素の変化により判定するもので、グアヤック法やオルトトリジン法などがある。便を長時間放置すると検出感度が低下し、ビタミンCの摂取・服用によって偽陰性(実際には陽性であるにもかかわらず、陰性の結果が出ること)になることもある。魚や肉などヒト以外の血液にも反応し、鉄剤、緑黄色野菜によっても偽陽性(実際には陰性であるにもかかわらず、陽性の結果が出ること)になるため、検査前には食事や内服薬の制限が必要となる。
免疫学的方法は、ヒトヘモグロビンに対する抗体を使用するため、化学的方法でみられるような偽陰性や偽陽性がなく検出感度が高い。食事制限も不要である。ただし、胃や十二指腸などの上部消化管出血では、消化酵素などによってヘモグロビンが変性するため、検出率が低下する。下部消化管出血の検出には適していることから、大腸がん検診に導入され、免疫便潜血検査2日法(2日間にわたって採取した便を検体として免疫学的に検査する方法)が採用されている。大腸がん検診においてこの検査で陽性になった場合には、精密検査として下部消化管内視鏡検査が行われる。
[渡邊清高 2019年8月20日]
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