六訂版 家庭医学大全科 「先天性心疾患の頻度」の解説
先天性心疾患の頻度
(循環器の病気)
先天性心疾患の発生する頻度は、どの時代でも世界的にほぼ一定していて、人種的および時代的に大きな差は認められないといわれてきました。
発生の頻度は新生児1000人に対して7~8人、軽い疾患まで加えても1000人に10人(1%)前後となっています。例外的に人種的な偏りがある疾患もあり、
疾患別にいちばん多いのは心室中隔欠損症(約15%)で、以下
心室中隔欠損のなかには自然に閉じる例もありますし、心房中隔欠損でも小さい欠損孔は2歳までに自然に閉じるものもあります。また、極めて重症の先天性心疾患の患者さんは、生後数日で死亡してしまうこともありますし、生後1年未満で死亡することもあります。以前は生まれて数日で死亡する疾患であったのが、外科治療の進歩に伴い、生存できるようになった疾患もあります。
したがって、病気別に頻度を調べる時期が、出生時に調べたのか、生後1カ月で調べたのか、あるいは生後1年で調べたのかによって当然異なってきます。その意味ですべての頻度は、おおよそ何%という表現をしましたが、おおむねは変わらないと思ってよいでしょう。
心室中隔欠損についてはもっと頻度が高く、約30%とする統計も多くみられ、1986年に日本で新生児期に限って行われた調査では、心室中隔欠損の頻度は全部の先天性心疾患の56%を占めていました。その後、自然に閉じる例があって頻度が減少するものと考えられています。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報