動脈管開存

内科学 第10版 「動脈管開存」の解説

動脈管開存(非チアノーゼ性心疾患)

(3)動脈管開存(patent ductus arterisosus:PDA
疫学
 VSDASDについで多い疾患である.動脈管組織は大動脈壁と異なり中膜弾性線維が少ない.成人では瘤形成や石灰化を示す場合がある.また,左心房が拡大し心房細動を合併する場合がある.Eisenmenger症候群では,右左短絡のため上肢チアノーゼが目立たず,下肢でチアノーゼとばち指が著明な場合がある(differential cyanosis).
臨床症状・検査成績
 一般のPDAと同様である【⇨5-8-5)】.
治療
1)カテーテル治療:
成人ではPDAの石灰化や瘤合併が少なくないことから外科手術よりカテーテル治療が好ましい.カテーテル治療には,コイル塞栓術とAmplatzer動脈管閉鎖(ductal occluder)法がある.前者は小さな(≦ 3 mm),後者は大きな(≦10 mm)PDA閉鎖に適している.
2)手術:
成人では出血などリスクは低くない. [大内秀雄]
■文献
Nakazawa M, Shinohara T, et al: Study Group for Arrhythmias Long-Term After Surgery for Congenital Heart Disease: ALTAS-CHD study. Arrhythmias late after repair of tetralogy of fallot: a Japanese Multicenter Study. Circ J, 68: 126-130, 2004.
Ohuchi H, Kagisaki K, et al: Impact of the evolution of the Fontan operation on early and late mortality: a single-center experience of 405 patients over 3 decades. Ann Thorac Surg, 92: 1457-1466, 2011.
Shiina Y, Toyoda T, et al: Prevalence of adult patients with congenital heart disease in Japan. Int J Cardiol, 146: 13-16, 2011.

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百科事典マイペディア 「動脈管開存」の意味・わかりやすい解説

動脈管開存【どうみゃくかんかいぞん】

普通は生後2年以内に閉塞(へいそく)される動脈管(胎児循環)が残存するために起こる先天性心臓病。運動時の息切れ動悸を訴えるものが多い。肺動脈圧が高く,心臓左右に拡大し,胸部X線写真では左第2心弓部に突出が著しい。肺動脈部に著明な心雑音をきく。放置すると肺高血圧症や細菌性心内膜炎を起こしやすいので,幼児期に手術する。
→関連項目希少疾病用医薬品先天性心臓病ボタロ管開存症

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家庭医学館 「動脈管開存」の解説

どうみゃくかんかいぞんしょう【動脈管開存(症) Patent Ductus Arteriosus(PDA)】

[どんな病気か]
 生後、閉じるはずの動脈管が閉じていない状態で、大動脈から肺動脈に血液が流れ込み、肺血流量が増加します。
[治療]
 新生児期早期には、動脈管を閉鎖させる作用のあるインドメタシンなどの薬剤が試みられます。
 乳児期以降は、症状や心臓にかかる負担によって、カテーテル治療(先天性心疾患とはの「内科的治療」のカテーテル治療)か、手術が選択されます。
 開存している動脈管が細く、短絡(たんらく)が少なくても、おとなになってからの外科的治療は困難です。
 とくに、感染性心内膜炎(かんせんせいしんないまくえん)をおこすと治療がむずかしくなるため、早めに治療したほうがいいとの考えと、症状もなく、心臓にかかる負担が軽ければ、経過をみてもいいという考え方とがあります。

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世界大百科事典(旧版)内の動脈管開存の言及

【先天性心疾患】より

…それらはさまざまな立場から分類されているが,従来よく行われているのは,チアノーゼを示す群(チアノーゼ性先天性心疾患)と示さない群(非チアノーゼ性先天性心疾患)に分けるものである。前者にはファロー四徴症,完全大血管転位,総肺静脈還流異常,三尖弁閉鎖,右胸心などがあり,後者には心室中隔欠損,心房中隔欠損,心内膜床欠損,動脈管開存,肺動脈狭窄,大動脈狭窄,大動脈縮窄などが含まれる。ただしチアノーゼの有無は決定的な違いではなく,前者に分類される疾患においても,ほとんどチアノーゼのみられない例もあり,また後者に分類される心室中隔欠損などにおいても病気が進行した状態においてはチアノーゼが現れることもある。…

※「動脈管開存」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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