動脈管開存
どうみゃくかんかいぞん
Patent ductus arteriosus (PDA)
(子どもの病気)
大動脈と肺動脈とをつなぐ血管を動脈管と呼びます。動脈管は赤ちゃんがおなかのなかにいる時には大切な血液の通り道ですが、出生後は必要がなくなり、生後1日から数日で閉じられます。この動脈管が閉じられない場合を、動脈管開存と呼びます(図5)。
動脈管開存では大動脈から肺動脈へ血液が流れ、肺、心臓に負担をかけます。
成熟児の場合、多くは無症状です。健診で心雑音を指摘され、検査の結果、診断されることもあります。動脈管が太く、心臓や肺に負担を多くかける場合には、体重増加不良、多呼吸、頻脈などの症状が認められ、早めの治療が必要です。
新生児集中治療室に入院する必要がある未熟児の場合、動脈管開存による心不全が認められることが多くあります。心不全症状が認められる場合は治療が行われます。
心臓超音波検査、X線検査、心電図検査などが必要に応じて行われます。心臓超音波検査により、動脈管の開存が認められれば診断されます。
手術により動脈管を閉じる方法と、カテーテルにより血管のなかからこれを閉じる方法のいずれかが選ばれています。未熟児の場合には、プロスタグランジン合成阻害薬(インダシン)の投与により閉鎖が期待できます。投与によっても閉鎖できなかった場合は、手術が考慮されます。
新生児、乳児期に心不全の症状が認められる場合には手術が選択され、症状がない場合には大きくなるのを待って手術、あるいはカテーテル治療のいずれかが選択されます。
近年は、腹腔鏡下に閉鎖術を行う方法もあり、従来に比べて手術創が小さくできますが、この方法を行う施設は限られています。
前述の症状がある場合には近隣の小児科を受診し、診察を受けてください。その後は医師の指示を受けてください。
朴 直樹
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
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動脈管開存(非チアノーゼ性心疾患)
(3)動脈管開存(patent ductus arterisosus:PDA)
疫学
VSDやASDについで多い疾患である.動脈管組織は大動脈壁と異なり中膜弾性線維が少ない.成人では瘤形成や石灰化を示す場合がある.また,左心房が拡大し心房細動を合併する場合がある.Eisenmenger症候群では,右左短絡のため上肢でチアノーゼが目立たず,下肢でチアノーゼとばち指が著明な場合がある(differential cyanosis).
臨床症状・検査成績
一般のPDAと同様である【⇨5-8-5)】.
治療
1)カテーテル治療:
成人ではPDAの石灰化や瘤合併が少なくないことから外科手術よりカテーテル治療が好ましい.カテーテル治療には,コイル塞栓術とAmplatzer動脈管閉鎖(ductal occluder)法がある.前者は小さな(≦ 3 mm),後者は大きな(≦10 mm)PDA閉鎖に適している.
2)手術:
成人では出血などリスクは低くない. [大内秀雄]
■文献
Nakazawa M, Shinohara T, et al: Study Group for Arrhythmias Long-Term After Surgery for Congenital Heart Disease: ALTAS-CHD study. Arrhythmias late after repair of tetralogy of fallot: a Japanese Multicenter Study. Circ J, 68: 126-130, 2004.
Ohuchi H, Kagisaki K, et al: Impact of the evolution of the Fontan operation on early and late mortality: a single-center experience of 405 patients over 3 decades. Ann Thorac Surg, 92: 1457-1466, 2011.
Shiina Y, Toyoda T, et al: Prevalence of adult patients with congenital heart disease in Japan. Int J Cardiol, 146: 13-16, 2011.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報
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動脈管開存【どうみゃくかんかいぞん】
普通は生後2年以内に閉塞(へいそく)される動脈管(胎児循環)が残存するために起こる先天性心臓病。運動時の息切れ,動悸を訴えるものが多い。肺動脈圧が高く,心臓は左右に拡大し,胸部X線写真では左第2心弓部に突出が著しい。肺動脈部に著明な心雑音をきく。放置すると肺高血圧症や細菌性心内膜炎を起こしやすいので,幼児期に手術する。
→関連項目希少疾病用医薬品|先天性心臓病|ボタロ管開存症
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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家庭医学館
「動脈管開存」の解説
どうみゃくかんかいぞんしょう【動脈管開存(症) Patent Ductus Arteriosus(PDA)】
[どんな病気か]
生後、閉じるはずの動脈管が閉じていない状態で、大動脈から肺動脈に血液が流れ込み、肺血流量が増加します。
[治療]
新生児期早期には、動脈管を閉鎖させる作用のあるインドメタシンなどの薬剤が試みられます。
乳児期以降は、症状や心臓にかかる負担によって、カテーテル治療(先天性心疾患とはの「[内科的治療]」のカテーテル治療)か、手術が選択されます。
開存している動脈管が細く、短絡(たんらく)が少なくても、おとなになってからの外科的治療は困難です。
とくに、感染性心内膜炎(かんせんせいしんないまくえん)をおこすと治療がむずかしくなるため、早めに治療したほうがいいとの考えと、症状もなく、心臓にかかる負担が軽ければ、経過をみてもいいという考え方とがあります。
出典 小学館家庭医学館について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の動脈管開存の言及
【先天性心疾患】より
…それらはさまざまな立場から分類されているが,従来よく行われているのは,[チアノーゼ]を示す群(チアノーゼ性先天性心疾患)と示さない群(非チアノーゼ性先天性心疾患)に分けるものである。前者にはファロー四徴症,完全大血管転位,総肺静脈還流異常,三尖弁閉鎖,右胸心などがあり,後者には心室中隔欠損,心房中隔欠損,心内膜床欠損,動脈管開存,肺動脈狭窄,大動脈狭窄,大動脈縮窄などが含まれる。ただしチアノーゼの有無は決定的な違いではなく,前者に分類される疾患においても,ほとんどチアノーゼのみられない例もあり,また後者に分類される心室中隔欠損などにおいても病気が進行した状態においてはチアノーゼが現れることもある。…
※「動脈管開存」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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