先天性梅毒(読み)せんてんせいばいどく(その他表記)congenital syphilis

改訂新版 世界大百科事典 「先天性梅毒」の意味・わかりやすい解説

先天性梅毒 (せんてんせいばいどく)
congenital syphilis

胎内で母親から胎盤を通して感染した梅毒(ただし母親の感染は,その胎児の妊娠中とは限らない)。症状は多彩であり,また症状の出る時期もさまざまであるが,早発型と遅発型に大別される。前者は乳児期に発症し,発熱発疹貧血,発育不良,パロー仮性麻痺などがみられ,また遅発型は幼児期以後に発症し,間質性角膜炎,迷路性聾,ハッチンソン歯(上前歯変形)などがみられる。現在は妊婦検診で梅毒血清反応が行われることになっていて,診断・治療されるため,先天性梅毒は減った。治療はペニシリンによる駆梅療法。また臍帯さいたい)血の血清反応陽性の場合も通常ペニシリンを使って治療される。
梅毒
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の先天性梅毒の言及

【性病】より

…おもに性交によって人から人へ感染していく病気の総称で,梅毒淋病軟性下疳(なんせいげかん)および鼠径(そけい)リンパ肉芽腫(第四性病)が含まれる。俗に花柳(かりゆう)病などともいわれた。また,性病も含め,性行為によって感染する諸疾患を,性行為感染症と総称する。
[性病の歴史]
 性病によると思われる外陰部の潰瘍については,すでにヒッポクラテスの時代にすでに記載されていた。しかし長い間,性病のそれぞれについての正しい情報が得られないまま,性病による陰部潰瘍の正確な分類が行われなかった。…

【梅毒】より

…梅毒トレポネマ(ニコルス株トレポネマ・パリズムTreponema pallidum)を病原体とし,慢性の経過をたどり,循環器系ないし中枢神経系まで侵される性病。出生後に感染したものを後天性梅毒,胎児が子宮内で感染したものを先天性梅毒という。 性病は,近代の細菌学の発達によって,それぞれの病原菌が確定されるまでは,正確な区別がなされていなかった。…

※「先天性梅毒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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