日本歴史地名大系 「入江保」の解説
入江保
いりえほ
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
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安芸国高宮郡(現,広島県安芸高田市吉田町上入江・下入江)の主殿寮便補保(びんぽのほ)。1189年(文治5)安芸国司により年別油3石3斗4升4合,大粮米76石4升4合の負担地として便補指定をうけ成立。成立当時の作田数は6反余という狭小なもので国衙在庁の妨げもみられたが,やがて領有が安定し1274年(文永11)の年貢散用状(計算書)によれば,田31町310歩,畠22町7反大40歩,栗林7町3反大,京進にあてられる所出物は米,大豆,搗栗(かちぐり)のほか桑代布,花紙,在家苧,宿直銭,御覧箱,雑皮,串柿,炭薪,漆などの多岐にわたっていた。主殿寮による入江保支配は国衙領当時のあり方を踏襲する形で行われていたが,鎌倉末期以降になると代官請が通例化してくる。代官請は当初預所の系譜をひく馬越氏によって果たされていたが,南北朝後期ごろから毛利氏の介入をまねき,馬越氏を被官に組み込んだ武田氏との間で代官職をめぐる抗争が激化した。嘉吉年間(1441-44)に至ってようやく毛利氏の代官請が定着をみ,15世紀末ごろまで年貢上進が続けられた。
執筆者:角重 始
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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