入膳宿(読み)にゆうぜんしゆく

日本歴史地名大系 「入膳宿」の解説

入膳宿
にゆうぜんしゆく

[現在地名]入善町入膳

とまり宿(現朝日町)から三日市みつかいち宿(現黒部市)までの間を黒部四十八ヵ瀬が流れ下り、古来交通の難所であった。長享三年(一四八九)黒部川を越えた万里集九の漢詩には「共持大竹一竿渡」と詠われており(梅花無尽蔵)、人々は大竹を持ち、一団となって危険な渡渉を行っていた。幾筋にもなって流れ下る川筋を一日で越えることは困難であったため、近世の初めまで黒部川扇状地には小さな宿駅が点在していた。慶長九年(一六〇四)前田利長は駄賃伝馬について申付け、「如前々横山村・金沢村・上野村春日村相談無滞様ニ可致事」と伝えている(「前田利長判物」越中古文書)金沢かなざわ村がのちの入膳である。横山よこやま・入膳・上野うわの春日かすが沓懸くつかけ(現黒部市)はいずれも宿駅で、元和二年(一六一六)の家高は春日が六、横山が一八、入膳が二五、上野は一四、沓懸は一六となっている(「三ヶ国宿々役家高書上」温井家文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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