全日本労働総同盟(戦前)(読み)ぜんにほんろうどうそうどうめい

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

全日本労働総同盟(戦前)
ぜんにほんろうどうそうどうめい

略称全総。1936年(昭和11)1月15日、日本労働総同盟総同盟)と全国労働組合同盟(全労)とが合同して、組合員数公称10万人(内務省調査7万2000人)で結成された右派系組合の全国中央組織(ナショナル・センター)。産業報国運動に対する方針で旧総同盟系と旧全労系とが対立し、39年7月24日、分裂・解体した。

 一方で国家主義系労働組合運動が拡大する1935年4月大阪・港南地方に総同盟・全労合同促進協議会が結成され、両組合本部に合同を申し入れた。両組合で協議の結果、同年7月「日本労働組合会議、社会大衆党の線に沿いつつ汎(ひろ)く僚友団体の協力参加を期する」などの方針が決定した。ところが全労の関東を中心に、日本交通労働総連盟(交総)、東京市従業員組合(東京市従)を加えるべきだとの議が起こり、交総、東京市従は合法左翼の日本労働組合全国評議会(全評)を含む全的合同を主張したので、ついに二組合だけの合同に終わった。

 1937年10月の全国大会で、労働奉公銃後三大運動の一つとして罷業絶滅・産業平和運動を決め、罷業絶滅宣言を発し、社会的反響をよんだ。38年産業報国運動が推進されると、社会大衆党主流、全総の旧全労系は労働組合の解消・産報一本化を主張する一方、旧総同盟系は自主的労働組合の存続のうえにたつ産報協力の二本立て方針をとって対立し、ついに分裂して、11月には旧全労系は産業報国倶楽部(くらぶ)を結成、旧総同盟系は元の日本労働総同盟に戻った。

松尾 洋]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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