八重山上布(読み)ヤエヤマジョウフ

デジタル大辞泉 「八重山上布」の意味・読み・例文・類語

やえやま‐じょうふ〔やへやまジヤウフ〕【八重山上布】

沖縄県八重山地方の、主に石垣島で産する麻織物。赤茶色の植物染料白地かすり模様をり込み染めにしたもの。かつては薩摩さつま上布とよばれた。

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精選版 日本国語大辞典 「八重山上布」の意味・読み・例文・類語

やえやま‐じょうふやへやまジャウフ【八重山上布】

  1. 〘 名詞 〙 沖縄県の八重山諸島の石垣島で産する上布。白地の摺りこみ絣で、紅露(クールー)と呼ばれる植物の根から採れる赤茶色の植物染料を用いたもの。もと薩摩(鹿児島県)を経由して市場に出たところから宮古上布とともに薩摩上布とも呼ばれる。

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事典 日本の地域ブランド・名産品 「八重山上布」の解説

八重山上布[染織]
やえやまじょうふ

九州・沖縄地方、沖縄県の地域ブランド。
石垣市・八重山郡竹富町で製作されている。八重山上布の起源は不明だが、17世紀初頭、薩摩藩へ人頭税がわりに納められた布として知られる。上布とは、苧麻を主原料とした白地に、石垣島の山野に自生する紅露の染料で絣をすり込み捺染したもの。わずかに黒味を帯びた焦茶色の絣がくっきり浮かぶ。涼感あふれる夏物着尺として好評。沖縄県伝統工芸製品。1989(平成元)年4月、通商産業大臣(現・経済産業大臣)によって国の伝統的工芸品に指定。

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世界大百科事典(旧版)内の八重山上布の言及

【上布】より

…〈上布〉の語は,献上,上納された布の意との説もあるが,江戸時代には上布,中布,下布などの呼称があり,糸の細いものを上布と呼んだ。日本に自生,もしくは植栽する苧麻(ちよま)(カラムシ,ラミー)や大麻から採った苧(お)を,細かく精良に手績(てうみ)した糸を経緯に使い織り上げたもので,越後上布宮古上布,八重山上布,能登上布等が歴史も古く有名である。上布は総じて細い糸を使うため軽くて通気性に富み,汗をかいても肌にべとつかず,夏季衣料の最高のものとされる。…

【人頭税】より

…その理由は,この両地域が米・麦・粟などのかわりに反布(たんぷ)を納めることを義務づけられていたからである。1人当りの租税負担額に応じた反布を織らせるためにきびしい監督体制が設定されていたが,そのとき生産された布が今に伝わる〈宮古上布〉〈八重山上布〉である。過酷な税制度であったため各地に悲劇的なエピソードが伝わっているが,中でも宮古の〈人頭税石〉,与那国(よなぐに)島の〈久部良割(くぶらばり)〉は有名である。…

※「八重山上布」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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