日本大百科全書(ニッポニカ) 「公私合同企業」の意味・わかりやすい解説
公私合同企業
こうしごうどうきぎょう
mixed enterprise
国や地方公共団体のような「公」と、民間の「私」とが合同して設立した企業。公私混合企業、半官半民会社ともいい、地域開発関連のものをとくに第三セクターとよぶこともある。一般に公共性の強い事業を営むことを目的として設立される。公私の合同(混合)は普通、出資(資本)面について行われるが、公有民営や民有公営のように、出資(所有)と経営の両面についての合同もありうる。株式会社商工組合中央金庫のような金庫、金庫と実質的には同一の性格をもつとみなされる日本銀行、関西国際空港株式会社のような特殊会社は、公私合同企業の例である。公私合同企業には、日本銀行のように、出資の半額以上が政府出資でなければならないことを法定された公的支配の色彩の強いものと、出資比率にはとくに法的な定めのないものとがある。
公的支配の内容や強度は、企業により異なるが、経営者人事、資金調達、業務執行など各面について政府の監督と保護が及んでいる。民間側の資本については、国籍や業種など出資者の資格が法定されているものがある。企業形態としては、公私両企業の長所をともに実現しようとするものであるが、公益性の軽視、コスト意識の欠落のような双方の欠陥のみが現れた例が少なくない。
[森本三男]