機械工学つまりメカニクスmechanicsと、大規模集積回路(LSI)やマイクロコンピュータなどの電子工学つまりエレクトロニクスelectronicsとを結合した技術をいう。このことばは、1976年(昭和51)に技術調査会の技術誌の誌名として登場した和製英語で、「機電一体化技術」とも表現できる。
メカトロニクス製品には、ミシン、電子カメラ、数値制御(NC)機械、オートメーション機器のように、機械部分はそのままで制御部分にマイコンなどのエレクトロニクスを採用したもの、電子時計、電子秤(ばかり)、電子キャッシュレジスターのように従来の機械の一部をエレクトロニクスで置き換えたものがあるほか、産業用ロボット、自動販売機、自動車および航空機の燃料・廃ガス制御や航空機の自動慣性制御システム(INS)、列車のファジー制御にみられるように、エレクトロニクス・センサーの進歩と相伴ってようやく実現できたものがある。いずれもが、従来の機械のみでは達成できなかった高精度の自動制御が得られるのが特徴である。
メカトロニクスは交通機関、工場、病院、流通センターなどのさらに巨大なシステムにおいて、手足のような役割を果たす機構部品に広く利用されている。このため、環境や周囲条件に応じた作業手順などのミクロレベルの総合的な判断を自動的に行うことが求められ、光を利用した光マイクロメカトロニクスとインテリジェント化が進められている。
[岩田倫典]
『小峯竜男著『図解・わかるメカトロニクス』(1997・講談社・ブルーバックス)』▽『見崎正行・小峯竜男著『未来のエンジニアに贈るメカトロニクスガイド』(1998・東京電機大学出版局)』▽『高森年著『メカトロニクス』(1999・オーム社)』▽『板生清・保坂寛・片桐祥雅著『光マイクロメカトロニクス』(1999・共立出版)』▽『雨宮好文監修「図解メカトロニクス入門シリーズ」(1999~ ・オーム社)』▽『小野京右著『メカトロニクス時代の機械力学』(1999・培風館)』▽『遠藤正・遠藤洋著『マルチメディアデザイン』(2000・電気書院)』▽『末松良一・山田宏尚著『画像処理工学』(2000・コロナ社)』▽『中川栄一・伊藤雅則著『ロボット工学概論』(2000・成山堂書店)』▽『喜多村直著『ロボットは心を持つか』(2000・共立出版)』▽『鷹野英司・川嶌俊夫著『センサの技術』(2001・理工学社)』▽『高橋裕著『メカトロニクスのための電磁気学入門』(2001・コロナ社)』
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