国立大学法人法(平成15年法律第112号)に基づいて、国立の大学共同利用機関として設置されている法人のこと。2004年(平成16)4月に法人化された。法人化以前は、全国の研究者に開かれた、研究者自身によって運営される大学共同利用機関として存在しており、その最初のものは1953年(昭和28)に開設された基礎物理学研究所(湯川記念館)であった。この大学共同利用機関は、個別の研究者はもちろん、単独の大学でも購入のむずかしいような高額予算を要する施設・機材、あるいは資料・文書等を整備・保存し、全国の研究者の利用に供し、学術研究の振興を図る中核拠点(COE:Center of Excellence)である。2017年時点で、人間文化研究機構、自然科学研究機構、高エネルギー加速器研究機構、情報・システム研究機構の4機構があり、人間文化研究機構には国際日本文化研究センター等の6機関、自然科学研究機構には国立天文台等の5機関、高エネルギー加速器研究機構には素粒子原子核研究所等の4機関、情報・システム研究機構には統計数理研究所等の4機関、合計19機関がある。
[山内乾史 2018年5月21日]
2004年(平成16)に国立大学法人法の下で国立大学が法人化されたのに合わせ,大学共同利用機関を設置することを目的に設立された法人(国立大学法人法2条)。人間文化研究機構(NIHU),自然科学研究機構(NINS),高エネルギー加速器研究機構(KEK),情報・システム研究機構(ROIS)があり,従来は国立学校設置法の下に設置されていた大学共同利用機関はこの4法人の下に再編された。各大学共同利用機関法人には,役員として機構長および監事2人と定められた員数の理事が置かれ,その経営に関する重要事項および教育研究に関する重要事項は,それぞれ機構長が議長として主宰する経営協議会および教育研究評議会が審議する(同法27条)。その業務は国立大学法人と同様に6年間の中期目標のもとに行われ,国立大学法人評価委員会の評価を受ける(同法9条,30条)。
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国立大学法人法において,大学共同利用機関は,上記の機構の研究分野について「大学における学術研究の発展等に資するために設置される大学の共同利用の研究所」と定義されており(2条),NIHU傘下に国立歴史民俗博物館,国文学研究資料館,国立国語研究所,国際日本文化研究センター,総合地球環境学研究所,国立民族学博物館,NINS傘下に国立天文台,核融合科学研究所,基礎生物学研究所,生理学研究所,分子科学研究所など,KEK傘下に素粒子原子核研究所,物質構造科学研究所など,ROIS傘下に国立極地研究所,国立情報学研究所,統計数理研究所,国立遺伝学研究所などがある。なお,再編前に存在していた大学共同利用機関のメディア教育開発センターは独立行政法人に移行され,さらに2009年には廃止されてその業務は放送大学に移管されている。
著者: 舘 昭
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報
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