改訂新版 世界大百科事典 「内燃力発電」の意味・わかりやすい解説
内燃力発電 (ないねんりょくはつでん)
internal combustion power generation
ディーゼルエンジン,ガソリンエンジンなど内燃機関を用いて発電機を回転させる方式。内燃機関は通常往復動式を利用しており,その場合シリンダー内で燃料と空気を圧縮し,それを爆発させたときの膨張エネルギーをピストン・クランク機構により回転エネルギーに変換する。内燃機関には4サイクル機関と2サイクル機関とがあるが,発電用には4サイクルで,圧縮比が15程度と高いディーゼルエンジンが一般に用いられる。ディーゼルエンジンの出力は2万kW程度までと比較的小さいが,熱効率は35~45%と高く,構造が簡単で始動停止も容易であることから離島の発電用や非常用電源として広く利用されている。小型のディーゼルエンジンは移動用の電源としても用いられ,ガソリンエンジンはポータブル電源としても広く用いられている。ディーゼルエンジンでは排気温度が400~500℃と高く,排気にもち去られる熱損失が大きく,そのほかにもシリンダーの冷却などの熱損失があり,これらの廃熱の利用が課題となっている。
執筆者:宮原 茂悦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報