日本大百科全書(ニッポニカ) 「内田亨」の意味・わかりやすい解説
内田亨
うちだとおる
(1897―1981)
動物学者。静岡県浜松市に生まれる。1923年(大正12)東京帝国大学理学部動物学科を卒業。1928年(昭和3)にクラゲ類の研究で理学博士の学位を取得。その後、ドイツ、アメリカに2年間留学し、フリッシュおよびゴルトシュミットに師事した。1931年北海道帝国大学理学部に赴任し、1961年(昭和36)に定年退官するまで同大学教授として、腔腸(こうちょう)動物の系統の基礎を確立したほか、日本における動物分類系統学の開拓発展に努め、多くの学者を指導育成した。また、両生類の性転換、ミツバチ、イヌなどの感覚生理の研究も行った。北大名誉教授、日本女子大学教授を歴任した。1961年より没年までの21年間動物分類学会会長を務めた。また、昭和天皇の海産動物研究の相談役を務めた。監修・執筆の『新日本動物図鑑』(全3巻)、『動物系統分類学』(全20巻)などのほか、多くの著訳書がある。
[今島 実]