写真図(読み)しゃしんず

日本大百科全書(ニッポニカ) 「写真図」の意味・わかりやすい解説

写真図
しゃしんず

何枚もの空中写真を貼(は)り合わせ、地名その他の必要な情報を加えて、地図のかわりに使えるようにしたもの。空中写真は、上空のある高さから撮影されるため、起伏のある土地では部分的に位置や形のずれやひずみを生じ、また撮影時のカメラの傾きによるひずみもあるため、そのままではうまく貼り合わせることができない。このため、器械を用いて空中写真の細かい部分ごとに、高さに応じてこれらのずれやひずみを修正しながら焼き付け、作成されるのが、正射写真図(オルソフォト・マップ)である。また、撮影カメラの傾きによるひずみだけを修正してつくられるものは偏位修正写真図(コントロールド・モザイク)といい、平地では地図のかわりに使うことができる。写真図は、地名などの情報量は少ないが、地表面の状態が写実的に示され、地図に比べて作成経費が安いという利点がある。

[五條英司]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「写真図」の意味・わかりやすい解説

写真図
しゃしんず
photomap

写真地図ともいう。空中写真を張合せて地名などの注記三角点などの基準点,さらには等高線,図郭境界線などを記入し,地図にしたもの。多数の空中写真をそのまま張合せたものを略集成写真と呼び,その上に地名や境界などを記入して地図の体裁にしたものを略集成写真図と呼ぶ。また偏位修正して同一縮尺の鉛直写真とし,写真の傾斜による写真像のひずみをなくし,基準点の配置に基づいて張合せた写真図を厳密集成写真図 (コントロールド・フォトマップ) と呼んでいる。さらに土地の起伏によるずれも修正した正射影写真をベースとしたものを,正射写真図またはオーソフォトマップ (オルソフォトグラフ) といい,写真図のなかで最も精密なものである。国土基本図のなかで地区によっては正射写真図が整備されている。

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世界大百科事典(旧版)内の写真図の言及

【写真測量】より

…第3に,実体写真の写真像の対応を計算で求め,三次元計測を自動的に行おうとする,自動図化の技術が研究されている。空中写真の像を微小単位ごとに地図座標に合わせて焼き付けなおし,等高線や注記などを加えて地図としたものを写真図というが,この写真図を作る装置では,自動的に標高を計測する装置が数種類実用化されている。空中写真リモートセンシング【平井 雄】。…

※「写真図」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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