デジタル大辞泉 「出で来」の意味・読み・例文・類語 いで・く【▽出で来】 [動カ変]1 内から出てくる。現れる。「げにいとあはれなりなど聞きながら、涙のつと―・こぬ、いとはしたなし」〈枕・一二七〉2 生まれる。「いまだ皇子も姫君も―・きさせ給はず」〈平家・三〉3 生じる。起こる。「わろびたる事ども―・くるわざなめれば」〈源・帚木〉4 巡り合う。でくわす。「三月の一日に―・きたる巳みの日」〈源・須磨〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例 Sponserd by
精選版 日本国語大辞典 「出で来」の意味・読み・例文・類語 いで‐・く【出来】 〘 自動詞 カ行変 〙 表だったところに現われる。人目にたつ状態になる。① (内にあるもの、隠れていたものなどが進み動いて)表に現われる。出現する。出てくる。[初出の実例]「大君のみことかしこみ伊弖久礼(イデクレ)ば吾(わ)ぬとりつきて言ひし児なはも」(出典:万葉集(8C後)二〇・四三五八)「げにいとあはれなりなど聞きながら、涙のつと出でこぬ」(出典:枕草子(10C終)一二七)② (なかったものが)新しく生じる。できる。(イ) (ある状態や事件などが)発生する。起こる。[初出の実例]「逢ふよしの出来(いでくる)までは畳薦(たたみこも)重ね編む数夢(いめ)にし見えむ」(出典:万葉集(8C後)一二・二九九五)「将門が乱いできて」(出典:大鏡(12C前)六)(ロ) この世に生まれる。[初出の実例]「若君のいとうつくしうおよずけ給ふままに、ほかにはかかる人もいでくまじきにや」(出典:源氏物語(1001‐14頃)浮舟)(ハ) こしらえられる。作られる。しあがる。産出する。[初出の実例]「河内の国、高安の郡に、いきかよふ所いできにけり」(出典:伊勢物語(10C前)二三)③ うまくある時機がめぐって来る。[初出の実例]「風も吹かず、よき日いできて漕ぎゆく」(出典:土左日記(935頃)承平五年一月二一日)④ よりよい状態が現われる。[初出の実例]「生唼(いけづき)とは黒栗毛の馬、〈略〉当時五歳、猶いてくべき馬也」(出典:源平盛衰記(14C前)三四)出で来の語誌( 1 )上代のイデクは、元の動詞イヅ(出)とク(来)の自立性がかなり高かったためか、ほとんどの例が①の意味で用いられており、②の用法は特異なものであった。( 2 )中古には②③の用法が次第に多くなる。中世には②の用法が優勢になるが、後期にはイヅルのヅル・デルへの変化に伴って、デクルという形が一般化する。 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例 Sponserd by