将門(読み)マサカド

精選版 日本国語大辞典 「将門」の意味・読み・例文・類語

まさかど【将門】

  1. [ 一 ] 歌舞伎所作事。常磐津宝田寿助作詞。五世岸沢式佐作曲。二世藤間勘十郎・四世西川扇蔵振付。本名題忍夜恋曲者(しのびよるこいはくせもの)」。天保七年(一八三六)江戸市村座の「世善鳥相馬旧殿(よにうとうそうまのふるごしょ)」の一番目大詰で初演平将門の旧居の古御所で、将門の娘滝夜叉(たきやしゃ)遊女に化け大宅太郎光圀を色仕掛けで味方にしようとするが見破られ、妖術で闘う。
  2. [ 二 ] ( 平安時代の武将 ) ⇒たいらのまさかど(平将門)

しょう‐もんシャウ‥【将門】

  1. 〘 名詞 〙 大将の家柄。将軍となる家柄。
    1. [初出の実例]「公自生于将門、至昇子太政大臣之位」(出典:翰林葫蘆集(1518頃)一四・鹿苑院殿百年忌陞座・散説)
    2. 「其述ぶる処は、多く戦乱の有様、若しくは帝統将門の確執等を記するに止まる」(出典:日本開化小史(1877‐82)〈田口卯吉〉四)
    3. [その他の文献]〔史記‐孟嘗君伝〕

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改訂新版 世界大百科事典 「将門」の意味・わかりやすい解説

将門 (まさかど)

歌舞伎舞踊。常磐津。通称《滝夜叉》とも。本名題《忍夜恋曲者(しのびよるこいはくせもの)》,のちに《忍夜孝事寄(しのびよるこうのことよせ)》とも。1836年(天保7)7月江戸市村座一番目狂言《世善知鳥相馬旧殿(よにうとうそうまのふるごしよ)》の六建目大詰に初演。作詞宝田寿助,作曲5世岸沢式佐,振付4世西川扇蔵傾城如月きさらぎ)実は平将門の娘滝夜叉姫を市川九蔵,源頼信の臣大宅太郎光圀を12世市村羽左衛門が演じた。将門の余類詮議の君命を受け,光圀が相馬の古御所に忍び込むと,島原の傾城に化けた滝夜叉が,光圀を色仕掛けで味方に引き入れようとするが,本性を見抜かれて立回りとなる。傾城のクドキ嵯峨御室〉の部分は美文名調子で,当時民間に大流行した。曲の〈5段構成〉が確実なものの代表作。
四天王物
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普及版 字通 「将門」の読み・字形・画数・意味

【将門】しよう(しやう)もん

大将の家柄。〔史記、孟嘗君伝〕(孟嘗君の名)聞く、將門には必ず將り、相門には必ず相りと。

字通「将」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「将門」の意味・わかりやすい解説

将門
まさかど

歌舞伎舞踊曲。常磐津。本名題『忍夜恋曲者 (しのびよるこいはくせもの) 』。山東京伝作『善知鳥 (うとう) 安方忠義伝』によって宝田寿助が脚色,5世岸沢式佐作曲。天保7 (1836) 年7月市村座で『世善鳥相馬旧殿 (よにうとうそうまのふるごしょ) 』の1番目大切として初演。謀反を企てた平将門の娘滝夜叉姫が遊女如月に変装し,詮議のため忍び込んだ大宅太郎光圀を色仕掛けで味方に引入れようとするが,光圀に見破られて2人の立回りとなる筋。如月のクドキ,光圀の語り,郭噺,手踊り,屋台崩しと,さまざまな見どころが盛込まれている。

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百科事典マイペディア 「将門」の意味・わかりやすい解説

将門【まさかど】

常磐津節の曲名。本名題《忍夜恋曲者(しのびよるこいはくせもの)》。5世岸沢式佐作曲。1836年初演。平将門の娘が遊女になりすまし,将門の残党を捜しにきた大宅(おおや)太郎光圀に忍び寄り色仕掛で味方にしようとするが,見破られて失敗する話。

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「将門」の解説

将門
(通称)
まさかど

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
式三番柱暦 など
初演
元禄16.1(江戸・森田座)

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デジタル大辞泉プラス 「将門」の解説

将門

古典落語の演目のひとつ。芝居ばなし。「追いだき」の別題。平将門が討たれた故事に基づく。

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