精留(読み)セイリュウ(その他表記)rectification

デジタル大辞泉 「精留」の意味・読み・例文・類語

せい‐りゅう〔‐リウ〕【精留】

混合液体蒸留のとき、すでに凝縮した液と続いて発生する蒸気とを接触させ、繰り返し蒸留して、分離をよくする操作

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精選版 日本国語大辞典 「精留」の意味・読み・例文・類語

せい‐りゅう‥リウ【精留・精溜】

  1. 〘 名詞 〙 蒸留の一種。出てくる蒸気を液体にし、その一部もとに戻しながらさらに蒸留をくりかえす。単蒸留にくらべ留出する成分純度が高い。〔稿本化学語彙(1900)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「精留」の意味・わかりやすい解説

精留
せいりゅう
rectification

蒸留法の一つ。単蒸留に際しては、外部から熱を供給することが必要であるが、蒸気が凝縮する場合は逆に熱を放出することになる。そこで、蒸留される液と、分縮をさせる蒸気を混合すると、ここで熱の受け渡しがおこり、蒸気のほうは低沸点成分が、液相には高沸点成分が多くなる。このような接触混合装置をいくつも連続して設置し、一端から蒸気、他端から液を送り込むと、蒸気には易揮発性成分、液相には難揮発性成分が濃縮する。このような蒸留法を精留という。連続式の精留を連続精留、回分式の精留を回分精留というが、工業的に行われる蒸留のほとんどは精留である。

山崎 昶]

精留塔

接触混合装置を多段に重ねると、必然的に高い塔状のもの(精留塔蒸留塔ともいう)になる。これに蒸気源としての缶(かま)と凝縮器とが一組になったものが、工業で用いられる精留装置である。通常は、凝縮器から出る液も大部分は塔へ戻し、一部のみを留出液として採取する。石油化学工場にみられる、ひときわ高い塔がそれである。

[山崎 昶]

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百科事典マイペディア 「精留」の意味・わかりやすい解説

精留【せいりゅう】

蒸留に際して,すでに凝縮した液をさらに続いて発生する蒸気と接触させ(還流という)て蒸留を繰り返す操作をいう。1回の蒸留に比べ,上昇する蒸気はいっそう低沸点成分に富むようになり,一方,下降する液は,高沸点成分が増加し,分離効果が向上する。工業的に行われる蒸留はほとんどが精留である。
→関連項目蒸留分留

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「精留」の意味・わかりやすい解説

精留
せいりゅう
rectification

蒸留法の1種。蒸留によって生じた蒸気を分縮して外部に取出し,分縮した液を再び蒸留管に戻す方式をとっている。精留するためには,精留塔に充填物を詰めたり,棚段をつけたりする。実験室では小型の蒸留塔を用い,分縮液を塔外に取出すことをせず,塔内に流下させる。大型の精留塔は石油工業や石油化学において原料精製に利用される。

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化学辞典 第2版 「精留」の解説

精留
セイリュウ
rectification

混合液体の各成分の蒸気圧の差を利用して,各成分に分離する操作をいう.還流を行う蒸留を精留として区別することがあるが,現在,工業的に行われる蒸留の多くは還流を用いているので,精留と蒸留を同義に使うことも多い.

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栄養・生化学辞典 「精留」の解説

精留

 液体の純度を高めるため,蒸留を繰り返すことであるが,通常その目的に適した装置を用いて効率よく行う.

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世界大百科事典(旧版)内の精留の言及

【蒸留】より

…蒸留塔の大きさや還流比などは原料混合液の性質に基づいて計算され,決定されるようになっている。 なお,還流を行いながら蒸留を繰り返す分離操作を特に精留rectificationと呼ぶが,工業的には蒸留といえばほとんどの場合精留を意味する。また,適当な温度間隔をもって2種以上の成分の留出液を分け取る蒸留法を分留fractional distillationという。…

【分留】より

…蒸留を何回もくり返して,沸点の差の小さい液体の混合物から純粋成分を分離する操作。分別蒸留または精留ともいう。くびの長いフラスコで蒸留をくり返しても行えるが,ふつうは分留管または精留管とよぶ図のような特殊な装置を蒸留フラスコの先に連結して蒸留を行う。…

※「精留」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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