切創(読み)セッソウ(英語表記)Incised wound

デジタル大辞泉 「切創」の意味・読み・例文・類語

せっ‐そう〔‐サウ〕【切創】

刃物やガラスの破片などで切ってできた傷。切り傷

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精選版 日本国語大辞典 「切創」の意味・読み・例文・類語

せっ‐そう‥サウ【切創】

  1. 〘 名詞 〙 刃物などでつけた傷。きりきず。

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六訂版 家庭医学大全科 「切創」の解説

切創
せっそう
Incised wound
(外傷)

どんな外傷か

 皮膚は、表面から表皮・真皮・皮下組織(脂肪など)に大別され、その下に筋肉や骨などがあります。医学的には、物理的な皮膚の損傷が表皮・真皮内のものを「傷」といい、その下の皮下組織や筋肉などにまで達した傷を、特別に「(そう)」と分類しています。

 切創とは、刃物、あるいは金属やガラス片といった辺縁が鋭利な器物が皮膚面に接し、一定方向に力がはたらいた時に生じる切り傷のことです。切創による損傷の範囲は、刃物などの器物が接触した部位に限定されます。

 切創の重症度は、損傷した組織の深さと幅によります。皮膚のみに限定されるものから、骨に達する深いものまでさまざまです。そのほか、損傷されうる組織として脂肪、筋肉、(けん)、動静脈、神経、靭帯(じんたい)があげられます。

 各組織が部分的に損傷している場合は自然に修復される可能性がありますが、血管、神経、腱の完全な断裂では時に緊急に縫い合わせる処置が必要になることがあります。

 創のなかに、異物や汚れがあると創は治ることがなく、皮膚を縫い合わせてもふさがりません。そのため、医療機関における切創の治療原則は、異物の除去、洗浄消毒により可能なかぎり病原微生物の数を減らし、創の修復後、早期に皮膚を縫い合わせ、新たな外部からの病原微生物の侵入防止や創内の止血を目的としています。

応急手当

 血を止めることが主体になります。一般の人が受傷後にまず実施すべき処置の原則は、実施者の安全確保です。血液を介する感染予防法として、手で直接、創に触れないことが重要です。具体的には、台所で使用するようなゴム手袋をはめ、さらに可能であれば、マスクの装着もすすめられます。

 次に、出血している部位を創の上から直接圧迫します。創には、縫い目の密なガーゼハンカチなどの布を用いて親指で圧迫し、手足の創では、ほかの4本の指ではさみ込むようにします。

 出血が持続し、血液が布ににじみ出てくるようであれば、その上にさらに布をあてて圧迫を続けることが大切です。

 また、手足の出血では、出血部位を心臓より高くします。これによって創部の血流が減少し、止血効果が期待できます。

医療機関における治療

 創内の病原微生物が増殖しないとされる受傷後6時間以内に、医療機関に受診することが重要です。そうすれば、医療用テープでの創の密着、糸による創縫合、医療用ホチキスでの創閉鎖などの処置が行えます。

 受傷後、長時間が経過した場合は、病原微生物が増殖して感染を起こすため、これらの処置は行えません。洗浄や消毒によって創の清浄化を図り、後日、縫合・閉鎖をします。抜糸は5日前後で可能です。

松田 剛明

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「切創」の意味・わかりやすい解説

切創
せっそう
incised wound

小刀、包丁、かみそり、刀などの刃物、ガラスの破片のような鋭利な辺縁のある物体でできる創傷で、俗に切り傷といわれる。この創(きず)は創縁が鋭利、平滑で、周囲組織の挫滅(ざめつ)が少ないのが特徴であり、手術のときのメスによる創が典型的である。打撲傷、擦過傷とともに日常おこりやすい損傷であり、小さい切創から内臓に達する大きな切創まであるが、一般には傷口の大きさのわりに深さは浅いことが多い。しかし、血管が切れるために出血は多く、大血管が切れると急速な出血をきたし、大静脈では空気栓塞(せんそく)をおこし、生命に危険が及ぶ。毛細血管や小血管からの出血は数分間清潔な布やガーゼなどで圧迫すれば止まる。挫滅された組織が少ないので創の治りはよい。創が小さい場合はオキシフルでふき、マーゾニンなどの消毒薬で消毒して市販の滅菌ガーゼなどで覆っておけばおよそ1週間で治癒する。大きい場合も縫合や滅菌テープで傷口を接着させると、やはり1週間で癒合する。瘢痕(はんこん)(きずあと)は細い線状である。泥その他で汚染された創や異物が入っている創は、生理食塩水やオキシフルなどで十分に洗浄したのち、縫合し、抗生物質を投与するが、細菌感染をおこした創は開放のまま治療することがある。感染創では破傷風感染の予防がとくに重要である。

[荒木京二郎]

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改訂新版 世界大百科事典 「切創」の意味・わかりやすい解説

切創 (せっそう)

(きず)

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世界大百科事典(旧版)内の切創の言及

【傷】より

…これらのうちで最も多く経験されるのは機械的な外力による損傷(機械的損傷)であり,この機械的損傷が外傷traumaや創傷wound,あるいは〈きず〉〈けが〉にほぼ相当する。外傷も創傷も,損傷の開放性,非開放性のいかんを問わず用いられるが,創傷の場合,〈創〉の1字だけだと開放性機械的損傷(たとえば切創,刺創,射創など)を,〈傷〉の1字だけだと非開放性機械的損傷(たとえば打撲傷など)を意味する。もちろん,この二つは必ずしも明確に区別されているわけではない。…

※「切創」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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