切創(読み)せっそう

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

切創
せっそう
incised wound

小刀、包丁、かみそり、刀などの刃物、ガラスの破片のような鋭利な辺縁のある物体でできる創傷で、俗に切り傷といわれる。この創(きず)は創縁が鋭利、平滑で、周囲組織の挫滅(ざめつ)が少ないのが特徴であり、手術のときのメスによる創が典型的である。打撲傷、擦過傷とともに日常おこりやすい損傷であり、小さい切創から内臓に達する大きな切創まであるが、一般には傷口の大きさのわりに深さは浅いことが多い。しかし、血管が切れるために出血は多く、大血管が切れると急速な出血をきたし、大静脈では空気栓塞(せんそく)をおこし、生命に危険が及ぶ。毛細血管や小血管からの出血は数分間清潔な布やガーゼなどで圧迫すれば止まる。挫滅された組織が少ないので創の治りはよい。創が小さい場合はオキシフルでふき、マーゾニンなどの消毒薬で消毒して市販の滅菌ガーゼなどで覆っておけばおよそ1週間で治癒する。大きい場合も縫合や滅菌テープで傷口を接着させると、やはり1週間で癒合する。瘢痕(はんこん)(きずあと)は細い線状である。泥その他で汚染された創や異物が入っている創は、生理食塩水やオキシフルなどで十分に洗浄したのち、縫合し、抗生物質を投与するが、細菌感染をおこした創は開放のまま治療することがある。感染創では破傷風感染の予防がとくに重要である。[荒木京二郎]

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精選版 日本国語大辞典の解説

せっ‐そう ‥サウ【切創】

〘名〙 刃物などでつけた傷。きりきず。

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世界大百科事典内の切創の言及

【傷】より

…これらのうちで最も多く経験されるのは機械的な外力による損傷(機械的損傷)であり,この機械的損傷が外傷traumaや創傷wound,あるいは〈きず〉〈けが〉にほぼ相当する。外傷も創傷も,損傷の開放性,非開放性のいかんを問わず用いられるが,創傷の場合,〈創〉の1字だけだと開放性機械的損傷(たとえば切創,刺創,射創など)を,〈傷〉の1字だけだと非開放性機械的損傷(たとえば打撲傷など)を意味する。もちろん,この二つは必ずしも明確に区別されているわけではない。…

※「切創」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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