改訂新版 世界大百科事典 「列車電話」の意味・わかりやすい解説
列車電話 (れっしゃでんわ)
train mobile radio telephone
鉄道沿線に適当な間隔で無線基地局を配置し,公衆電話網と運行中の列車内の電話設備間を無線接続する通信方式を列車電話という。列車電話にもいくつかの方式があるが,例えば東海道および山陽新幹線で用いられている列車電話では,東京・博多間約1100kmの沿線上に59基地局とトンネル内対策設備を設け,400MHz帯の電波を用いて無線通信を行っている。各列車内の電話設備は,運転指令用の2回線と公衆電話用および業務電話用の6回線からなり,多重通信によって基地局に接続されている。公衆電話回線は基地局から東京,静岡,名古屋など主要都市に設けられている統制局を経て公衆電話網に接続されている。
日本の公衆列車電話は,1956年に近畿日本鉄道が採用した誘導無線による列車電話サービスが最初であるが,60年に東海道本線において400MHz帯の無線方式が採用され,そして65年に東海道新幹線において上記のような列車電話サービスが開始されている。また,このほかにも自動車電話システムをそのまま利用して,列車公衆電話としてサービスを提供しているシステムもある。
執筆者:秋山 稔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報