映像や写真、音声などを組み合わせて配信される広告の総称。おもに、インターネットを通してパソコン、スマートフォンやタブレット型端末などに、動画として表示されるインターネット広告をさす。日本では2010年(平成22)ごろから、動画共有サイトのユーチューブYouTubeやニコニコ動画などの利用者が急増し、その視聴履歴や検索内容などから、ひとりひとりの興味にあわせた動画広告を表示できるインターネットの特長が注目されるようになった。その後、スマートフォンやタブレット型端末が広く普及し、通信回線が高速化したことで、インターネットを通じた動画の視聴や投稿、共有が容易にできるようになった。なかでも、10代の若者のスマートフォンによる動画接触率が、テレビをしのぐ水準に達しつつある。
インターネットの動画広告では、テレビコマーシャルとのすみ分けや関連づけを行い、商品の特長や全体的印象、使用事例などを具体的にみせるものが主流になっている。調査会社サイバーエージェントなどが2015年に発表した調査結果によれば、2015年の動画広告市場規模は、前年比約60%増の506億円に達する見込みである。今後の市場規模は、2017年に1000億円、2020年には2000億円を超えると予測されており、動画広告がネット広告市場の成長を牽引(けんいん)するとみられている。
[編集部 2016年8月19日]
おもな動画広告には以下の4種類がある。(1)インフィード広告 ウェブサイトやアプリケーションのコンテンツの途中に広告枠が設置されており、閲覧者が視聴しているタイミングで動画が再生される広告。インリード広告やインスクロール広告ともよばれ、それぞれの明確な定義はなされていない。従来は静止画や文章のみで構成された広告表示であったが、動画広告が採用され、ソーシャルメディアやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)における広告表示の主要な枠組みになっている。(2)インストリーム広告 動画配信サイトで、閲覧されるコンテンツの途中に挿入される広告。通常は15~30秒程度の長さである。視聴するコンテンツの開始前に再生されるものをプリロール動画広告とよぶ。このほかに再生中、終了直後に挿入される広告もある。また、広告を数秒間閲覧すれば、残りを飛ばすことのできる広告をスキッパブル広告とよび、できないものをノンスキッパブル広告という。(3)インバナー広告 動画配信サイトを含むウェブサイトで、バナー広告の広告枠に配信される動画広告。ユーチューブではディスプレー広告とよばれる。ブラウザ上で自動的に再生されるもの、あるいはバナー広告をクリックすると、動画プレーヤーが開き、再生を開始するものがある。(4)オーバーレイ広告 動画を再生している画面の下部に重なって表示される半透明の広告。クローズボックスをクリックすることで、広告表示を中断することができる。アニメーションやテキストの広告が主体である。ユーチューブでは、動画コンテンツの右上に表示されるスポンサーカードがあり、オーバーレイ広告と同じように、動画内容に関連した広告掲載会社の情報やコンテンツが得られる。
[編集部 2016年8月19日]
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