改訂新版 世界大百科事典 「化学繊維紙」の意味・わかりやすい解説
化学繊維紙 (かがくせんいし)
artificial fiber paper
天然植物繊維から作られた従来の紙に対し,化学繊維に合成樹脂接着剤を加えて抄紙機ですいたものをいい,化繊紙とも呼ばれる。従来の紙と同様に水懸濁液から抄紙,乾燥して作られる。原料繊維にはビニロン,ナイロン,アクリル,レーヨン,ポリプロピレン,アスベスト繊維などを用い,接着剤には水溶性ポリビニルアルコール繊維が多く使用されている。1936年にドイツでレーヨン紙の特許が出され,50年に100%ガラス繊維紙が発表されてから多くの化学繊維紙が出現した。レーヨン紙を除いて原料が石油化学製品ないし鉱物質であるため吸湿性が低く,紙の欠点の一つである湿度による寸法変化や強度低下が少ないことが特徴である。原料の繊維長も3~30mmもあるので引裂強度が天然紙より大きい。100%ナイロン紙はクラフト紙より4倍も強く,耐折強さは数十倍もある。障子紙,壁紙,服芯,おむつ,各種フィルター用ろ過材,電気絶縁材などに用いられる。
執筆者:臼田 誠人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報