改訂新版 世界大百科事典 「北浜原生花園」の意味・わかりやすい解説
北浜原生花園 (きたはまげんせいかえん)
北海道東部,網走市東部の北浜から小清水町浜小清水にかけてのオホーツク海岸に展開する海岸草原。小清水原生花園とも呼ばれ,植物群落の規模も大きく北海道の海岸草原の代表的なもので,広大な原野に乳牛の群れが草をはむ光景がみられる。東西12km,幅100~700mの海岸砂丘がオホーツク海と濤沸(とうふつ)湖との間に広がり,砂丘の前面および背後にハマニンニクやハマナス,エゾキスゲ,エゾノシシウド,エゾスカシユリなどの群落が発達する。濤沸湖岸にいたる湿性草原にはヒオウギアヤメ,センダイハギなど,湖岸には塩湿地の植物が生育している。6月中旬から8月まで一面の花園となり,網走国定公園の重要な観光地となっている。このような海岸草原は一般に原生花園と呼ばれるが,北浜原生花園は交通の便がよくとくに有名である。1964年以降,この砂丘上を通る釧網本線には夏季のみ停車する原生花園駅が置かれている。
執筆者:岡本 次郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報