ヒオウギアヤメ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒオウギアヤメ」の意味・わかりやすい解説

ヒオウギアヤメ(桧扇菖蒲)
ヒオウギアヤメ
Iris setosa

アヤメ科多年草本州中部以北,北海道,千島サハリン朝鮮半島,東シベリア,アリューシャンアラスカに分布し,湿原や河川流域に生える。地下茎は長く横たわる。葉は長さ 20~40cmで幅広く,中肋は目立たない。花茎は 50~90cmで,包葉が2~3枚あり枝を1~3本出す。花期は6~8月で,径 8cmの青紫色花を平開する。外花被片は開出して垂れ下がり,爪部は黄白色で紫脈が目立つ。内花被片は著しく小型で長さ約 1cm,先は芒 (のぎ) 状にとがる。花柱の先は2深裂し,裂片には鋸歯がある。和名は花がアヤメに,葉がヒオウギ (檜扇)に似ることによる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒオウギアヤメ」の意味・わかりやすい解説

ヒオウギアヤメ
ひおうぎあやめ / 檜扇文目
[学] Iris setosa Pall.

アヤメ科(APG分類:アヤメ科)の多年草。高さ30~90センチメートル、2~3本の枝を出す。葉は長さ7~40センチメートル、中央脈はない。7~8月、径約8センチメートルの青紫色花を開く。外花被片(がいかひへん)は広倒卵形で長さ約5センチメートル、垂れ下がり、基部に黄色と紫色の虎斑(とらふ)模様がある。内花被片は倒卵形で長さ約1センチメートル、先は芒(のぎ)状で直立する。亜高山帯湿地高層湿原に群生し、中部地方以北の本州、北海道、およびアラスカ以西の北太平洋地域に広く分布する。那須(なす)地方、および霧ヶ峰には、それぞれ雑種起源とみられるナスノヒオウギアヤメとキリガミネヒオウギアヤメがある。

[清水建美 2019年5月21日]


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