濤沸湖(読み)トウフツコ

デジタル大辞泉 「濤沸湖」の意味・読み・例文・類語

とうふつ‐こ〔タウフツ‐〕【濤沸湖】

北海道東部、オホーツク海沿岸にある潟湖せきこ網走市小清水町にまたがる。湖畔原生花園がある。平成17年(2005)ラムサール条約に登録された。

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精選版 日本国語大辞典 「濤沸湖」の意味・読み・例文・類語

とうふつ‐こタウフツ‥【濤沸湖】

  1. 北海道北東部、網走市と小清水町にまたがる潟湖。オホーツク海が砂州で区切られてできたもので、周辺は水鳥の渡来地。白鳥飛来で知られる。面積八・八平方キロメートル。

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日本歴史地名大系 「濤沸湖」の解説

濤沸湖
とうふつこ

網走市とその東、斜里しやり小清水こしみず町の境界にある東西約八キロ、南北幅最大約一キロの潟湖。浦士別うらしべつ川水系に属する。東西に延びる延長約七キロ・最大幅一五メートルの砂洲によってオホーツク海と隔てられ、西端にある湖口が市町境をなし、北岸の砂洲が小清水町、南岸は網走市である。周囲約三〇キロ、湖面面積九・三平方キロ、最深二・五メートルの富栄養湖。南岸には浦士別川・オンネナイ川・丸万まるまん川などが注いでいる。前近代にはこの辺りを「ウラヤシベツ(蝦夷商賈聞書・夷諺俗話)とか、「ウラヤスヘツ」(寛政蝦夷乱取調日記)などといい、一七九〇年(寛政二年)シャリに運上屋(現斜里町)が設けられるまでは現網走市・網走郡東藻琴ひがしもこと村・斜里郡を生活圏としたアイヌの本拠地だったらしい。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「濤沸湖」の意味・わかりやすい解説

濤沸湖
とうふつこ

北海道東部、オホーツク海に面した潟湖(せきこ)。網走市(あばしりし)と小清水町(こしみずちょう)にまたがる。東西8キロメートル、南北2キロメートル、周囲30キロメートル、面積8.25平方キロメートル、基準水面0.6メートル、最深2.4メートル。富栄養の汽水湖で、洪積層台地に囲まれた内湾が砂州の発達でオホーツク海と隔てられたもの。砂州の延長7.5キロメートル、最大幅700メートル、標高は20メートルを超える所もある。西端の網走市北浜付近に約40メートルの開口部があって海に通じている。湖名はアイヌ語の「ト・プツ」(湖・口)に由来するとされる。浦士別(うらしべつ)川、オンネナイ川、丸万(まるまん)川などが流入し、河口部にはデルタが発達している。ワカサギ、エビなどの漁業が行われ、カモなど水鳥が生息し、オオハクチョウなども飛来、野鳥観察舎がある。網走国定公園の一部で、砂州上には小清水、北浜の原生花園が広がる。また、2005年(平成17)には、ラムサール条約登録湿地となった。湖畔では酪農が営まれ、牧歌的風景が展開している。砂州上をJR釧網(せんもう)本線、国道244号が走る。

岡本次郎


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改訂新版 世界大百科事典 「濤沸湖」の意味・わかりやすい解説

濤沸湖 (とうふつこ)

北海道東部,網走支庁小清水町にある湖。オホーツク海岸に発達した砂丘状砂州によってふさがれた潟湖で,東西8km,幅2km,周囲30km,面積9.3km2,最深2.5m。砂州はもっとも広いところで幅700m,高いところで標高20mをこえ,7.5kmにわたって湖をせき止めているが,西端の北浜付近で約40mの幅で外海に通ずる汽水湖である。湖中には湿地を含む小島が点在する。湖内は藻琴(もこと)山(1000m)から流入する丸万川,オンネナイ川,浦士別川などの運ぶ土砂の堆積が著しい。湖の名はアイヌ語の〈トー・プッ(湖の口)〉に由来する。カモをはじめ水鳥の生息地となっており,冬季には凍結するが,秋と春には多数のハクチョウが飛来する。ワカサギ,エビなどの漁業も行われる。砂丘上を通るJR釧網本線,国道244号線に沿って北浜原生花園が広がり,6~9月に約60種の草花が咲き乱れる。湖の周辺では酪農も営まれ,原生花園,湖と一体となって牧歌的な雰囲気をつくり出している。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「濤沸湖」の意味・わかりやすい解説

濤沸湖
とうふつこ

北海道東部,オホーツク海に臨む潟湖(→)。網走市小清水町にまたがる。富栄養湖。東西約 8km,最大幅 2km,周囲 27km,面積 8.3km2。最大水深 2.5m。地名はアイヌ語のトープツ(沼の口)に由来。沿岸に発達する弓状の砂州にせき止められて形成。西端の北浜付近で外海とつながる半鹹水湖。砂州上は春から秋にかけて,エゾスカシユリ,ハマナス,エゾキスゲなど数十種の花が咲き,原生花園と呼ばれる(→北浜原生花園)。そのなかに牛馬が放牧され,湖にはハクチョウやカモの大群が飛来。湖と周辺は南極観測のための越冬訓練地として利用された。網走国定公園に属する。2005年ラムサール条約に登録。

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百科事典マイペディア 「濤沸湖」の意味・わかりやすい解説

濤沸湖【とうふつこ】

北海道網走市東部の潟湖。面積8.19km2,最深2.5m。幅約200mの砂州でオホーツク海と隔てられ,砂州上は約50種の草花が咲く小清水原生花園である。春,ハクチョウが飛来。網走国定公園の一中心で,砂州上に釧網(せんもう)本線が通じる。2005年11月にラムサール条約登録湿地となる。
→関連項目網走[市]小清水[町]ラムサール条約

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事典 日本の地域遺産 「濤沸湖」の解説

濤沸湖

(北海道網走市;北海道斜里郡小清水町)
ラムサール条約湿地」指定の地域遺産。
低層湿原、湖沼、大規模オオハクチョウ・オオヒシクイ等渡来地。国指定濤沸湖鳥獣保護区濤沸湖特別保護地区、網走国定公園特別地域。砂嘴の発達によって形成された海跡湖であり、汽水湖である

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