…25年,《日輪》の映画化(検閲で《女性の輝き》と改題)を機に原作者の横光利一と知り合い,新感覚派の作家たちと組んで,表現主義風な映像表現のテクニックを駆使して,無字幕の芸術的映画(新感覚派映画と呼ばれた)《狂った一頁》を独立プロ(衣笠映画連盟)でつくった。同種の実験精神は,チャンバラ一辺倒の時代劇に抵抗して〈時代劇から剣を奪った〉異色の時代劇《十字路》(1928)や,日本映画の最初のトーキー大作《忠臣蔵》前後編(1932)における〈ソビエト映画流の音のモンタージュ〉(赤穂城明渡しのシーンにおける鐘の音の対位法的な使い方など)にも見られる。27年,歌舞伎の女形出身の林長二郎(のちの長谷川一夫)を松竹からあずかった衣笠映画連盟(《狂った一頁》の赤字を補うために松竹時代劇の請負製作をしていた)は,〈艶のある〉軟派時代劇,情緒劇を世に送り,女性観客に圧倒的人気を得た。…
…たちまち深き夜の静寂破る剣戟の響き……〉という活弁の名調子を生んだ志波西果監督《尊王》(1926)などをつくるとともに,《稚児の剣法》(1927)で林長二郎(長谷川一夫)を一大宣伝作戦のもとに新スターとして売り出し,それまでの荒々しい立回りとは違ったやさ型の剣と美貌によって女性の人気を集め,時代劇の新生面を開いた。林長二郎と多くコンビを組んだ監督は衣笠貞之助で,《お嬢吉三》《鬼薊(おにあざみ)》《鯉名の銀平》《沓掛時次郎》《雪之丞変化》などにおいて林長二郎を育て,その間,立回りのない実験的な時代劇《十字路》(1928)をつくった。
[反逆の時代劇]
日活は時代劇革新の波にもっとも遅れていたが,尾上松之助の1000本記念作品《荒木又右衛門》や《忠臣蔵》では,池田富保監督が新しい様式に挑んだ。…
※「十字路」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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