南仙笑楚満人(読み)なんせんしょうそまびと

精選版 日本国語大辞典 「南仙笑楚満人」の意味・読み・例文・類語

なんせんしょう‐そまびとナンセンセウ‥【南仙笑楚満人】

  1. 江戸後期戯作者本名、楠彦太郎。江戸芝の人。天明三年(一七八三)刊の「敵討三味線由来」を処女作に、敵討ち題材とした黄表紙などを執筆したが、天明期(一七八一‐八九)の洒脱な黄表紙が流行する時流には乗れなかった。寛政の改革後「敵討義女英(かたきうちぎじょのはなぶさ)」(一七九五=寛政七年刊)によって好評を博し、敵討物全盛の黄表紙界の中心となった。寛延二~文化四年(一七四九‐一八〇七

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改訂新版 世界大百科事典 「南仙笑楚満人」の意味・わかりやすい解説

南仙笑楚満人 (なんせんしょうそまひと)
生没年:1749-1807(寛延2-文化4)

江戸後期の戯作者。本名は楠彦太郎。別号志筍坊,杣人,曾満人。本業鞘師,書店,医師と諸説ある。黄表紙《敵討三味線由来(かたきうちしやみせんゆらい)》(1783)を処女作とし,時流とは異なる滑稽の乏しい作品をもっぱら書いたが,《敵討義女英(ぎじよのはなぶさ)》(1795)は大当りで以後黄表紙はしだいに敵討を主題とする内容のものが多くなった。1803年(享和3)からは毎年10種以上を書いて時流に乗り没年に至った。なお,2世楚満人はのちの為永春水
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朝日日本歴史人物事典 「南仙笑楚満人」の解説

南仙笑楚満人

没年:文化4.3.9(1807.4.16)
生年:寛延2(1749)
江戸中・後期の戯作者。本名を楠彦太郎という。杣人,曾満人などの別号がある。江戸芝宇田川町住といわれ,家業は医者,板木師,鞘師など諸伝まちまちでよく分からない。天明3(1783)年から黄表紙作者として登場。寛政7(1795)年作『敵討義女英』が寛政の改革後の時流にかない,以降の敵討物流行の端緒となって,没するまで敵討物の合巻に活躍している。作風は類型的で凡庸と評されるものの,作品数は極めて多く,それだけ時好にかなった作者であった。安永7,8(1778,9)の両年に刊行した品川細見『波南能家満』『おみなめし』もおそらくその作と思われ,その家業も類推できよう。

(中野三敏)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「南仙笑楚満人」の解説

南仙笑楚満人 なんせんしょう-そまひと

1749-1807 江戸時代中期-後期の戯作(げさく)者。
寛延2年生まれ。江戸の人。寛政7年「敵討(かたきうち)義女英(ぎじょのはなぶさ)」をかいて評判を得る。敵討物黄表紙の作者として三百余の作品をのこした。本業は書店主とも,板木師,鞘(さや)師ともいう。文化4年3月9日死去。59歳。姓は楠(くすのき)。通称は彦太郎。別号に杣人,曾満人,志筍坊。

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世界大百科事典(旧版)内の南仙笑楚満人の言及

【為永春水】より

…本名は鷦鷯(ささき)(佐々木)貞高,通称は越前屋長次郎。2代目振鷺亭(しんろてい)主人,三鷺(さんろ),2世南仙笑楚満人(なんせんしようそまひと),狂訓亭主人,金竜山人とも号し,講釈師として為永正輔(助),為永金竜を名のった。江戸の町家の出身らしいが前半生の経歴は明らかでない。…

【人情本】より

…人情本の源流の一つは,式亭三馬,梅暮里谷峨(うめぼりこくが)らが,寛政の改革以降に著した物語性に富む連作洒落本(しやれぼん)に求められるが,それとともに読本(よみほん)を通俗化し,講釈などの話芸をとりいれた中型読本と呼ばれる大衆読み物からの転化が考えられる。前者の系譜を引くのは《娼妓美談(けいせいびだん) 籬の花(まがきのはな)》(1817)など,末期洒落本作者として出発した鼻山人であり,後者の中型読本から市井の男女の情話を描く人情本様式への転回を告げたのは,新内の名作《明烏(あけがらす)》の後日談として書かれた,2世南仙笑楚満人(なんせんしようそまひと)(為永春水)・滝亭鯉丈(りゆうていりじよう)合作《明烏後正夢(のちのまさゆめ)》(1819‐24)と素人作者の写本《江戸紫》を粉本とした十返舎一九の《清談峯初花(せいだんみねのはつはな)》(1819‐21)であった。 《明烏後正夢》で戯作(げさく)文壇に登場した2世楚満人は,その後,狂言作者2世瀬川如皐(じよこう)や筆耕松亭金水(しようていきんすい)らの助力を得て,二十数部の人情本を出版するが,いずれも未熟な習作で世評もかんばしくなかった。…

※「南仙笑楚満人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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