出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… その理由は,西洋において文学としての戯曲が軽視されていたからではなく,むしろその逆であって,あらゆる舞台上の演劇がそのまま文学であることは当然だ,と考えられていたからにほかならない。もちろん,西洋にも即興劇や黙劇の伝統はあったが,中心を占めてきたのは,ギリシア古典劇以来,文学として読むことのできる戯曲の上演であり,演劇の全体が一種の文学的な行為だということは,暗黙の常識になっていた。これに対して,近代以前の日本の場合,能楽も歌舞伎も現実には文学的な筋と言葉を持ちながら,それを〈文学〉として読み,解釈し,批評する習慣は長らく確立していなかった。…
… 演劇では古くから方法として〈即興〉を意図的に使ったり,また〈即興〉の才能そのものを引き出したり涵養したりすることが,広く行われていた。それは,演劇の〈始原〉を考えるうえでも,ある一定の意味をもつと思われるが,訓練された俳優が,役のタイプや大まかな筋書きを与えられ,その場に応じて演じる即興劇のようなものとしては,17世紀に隆盛をみるイタリアのコメディア・デラルテが,とくに有名である。また,近代的な俳優訓練のために,組織的に〈即興〉という手段を利用した最初の偉大な演劇人は,K.S.スタニスラフスキーであろう。…
※「即興劇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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