原発性アルドステロン症とその類似疾患(読み)げんぱつせいアルドステロンしょうとそのるいじしっかん(英語表記)Primary aldosteronism and related diseases

六訂版 家庭医学大全科 の解説

原発性アルドステロン症とその類似疾患
げんぱつせいアルドステロンしょうとそのるいじしっかん
Primary aldosteronism and related diseases
(循環器の病気)

原因は何か

 原発性アルドステロン症は、副腎皮質(ふくじんひしつ)からアルドステロンというホルモンが過剰につくられる疾患です。狭い意味での原発性アルドステロン症はアルドステロン産生副腎腺腫(せんしゅ)のことをいいますが、両側性の副腎過形成(かけいせい)に伴う特発性(とくはつせい)アルドステロン症や副腎がんを含めて、広い意味で原発性アルドステロン症と呼ばれることがあります。

 以前は全高血圧の0.3~1%と報告されていましたが、近年の診断法の進歩により、その頻度は10%前後と決して少ないものではないことが明らかになってきました。

症状の現れ方

 過剰につくられたアルドステロンの直接作用あるいは二次的効果により、高血圧筋力の低下や多尿などの症状を示すことがありますが、大半の人は無症状のことが多いようです。

検査と診断

 臨床検査上は、低カリウム血症血漿(けっしょう)レニン活性の低下、血中アルドステロン濃度の上昇、副腎皮質よりつくられるコルチゾール値が正常である正コルチゾール血症を特徴とします。二次スクリーニング検査として、アルドステロン分泌刺激あるいは抑制試験が有用です。以上の検査によって本症と診断されれば、鑑別診断のためにCTMRIシンチグラフィなどの画像診断を行います。

 一般に腫瘍の径が1~2㎝と小さなことが多いため、画像診断で不確かな時は副腎静脈造影や、カテーテルによりさまざまな静脈部位で直接採血してホルモン産生部位を推定する副腎静脈サンプリングを行います。

治療の方法

 副腎腺腫による原発性アルドステロン症と副腎過形成に伴う特発性アルドステロン症とでは、治療法が大きく異なります。前者は外科的治療(副腎腺腫の摘出)ですが、後者では内科的治療(スピロノラクトンという利尿薬)が選択されます。

 本症の予後は一般に良好とされていますが、心血管合併症の頻度は本態性高血圧症よりも高いことが報告されています。理由ははっきりしませんが、副腎腺腫を摘出したにもかかわらず高血圧が続くこともあります。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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