参与観察法(読み)さんよかんさつほう(英語表記)participant observation method

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

参与観察法
さんよかんさつほう
participant observation method

社会調査の一技法。社会調査におけるデータ収集の方法には、調査票を用いる方法、観察法、自由面接法、テスト法などがあるが、参与観察法は、研究者自身が調査対象となっている地域社会や集団に参加し、その成員としての役割を演じながら、そこでの事象を多角的な側面にわたり長期的に観察・記述する観察法の一つである。この方法は、研究者と著しく文化様式が異なり、構造のおおよそすらもつかめない地域社会や集団の実態をうかがい知る場合に、とくに有効性を発揮する。標準化された調査法は、調査対象の実態が漠然とであれ予想できる場合にのみ用いることができるからである。また、調査対象者が観察されていることをとくに意識せずにすむため、対象者の内面まで探ることが期待でき、事象を調査対象者自身の意味に即して把握することができる。しかしその反面、研究者が長期間にわたって調査対象とともに生活をすることが必要であり、さらに、対象との深いかかわりのなかで情緒的に一体化しやすく、客観的な事実観察が妨げられがちであるなどの欠点もある。
 参与観察法はこれまで、文化人類学における未開社会の研究や、社会学における閉鎖的社会集団(たとえば、宗教団体、あるいはやくざ集団や暴走族など)の研究等において成果をあげてきている。[原 純輔]
『安田三郎・原純輔著『社会調査ハンドブック』第3版(1982・有斐閣) ▽福武直著『社会調査』補訂版(1984・岩波書店) ▽佐藤郁哉著『暴走族のエスノグラフィー』(1984・新曜社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例