広義には、共同の目標をもち、なんらかの仕方で相互作用を行い、そして、ともに所属しているという一体感を多少とももっているような、複数の人々の結合のことである。たとえば、家族、友人仲間、学校、会社、病院、政党、スポーツクラブ、村や都市、群集や公衆、教会、国家などである。集団の共同目標は、明確に定まっている場合もあり、ただ結合を保つことを暗黙の目標にしている場合もある。人々の相互作用は、独自の規範に従い持続的、組織的に行われる場合もあり、そうでない場合もある。共同所属の一体感が強い場合には、「われわれ感情」we-feelingとよばれるものが生じ、集団の内と外が自覚される。もっとも狭義には、社会集団は、一方で流動的な群集から区別され、他方で国家のような永続性をもつ抽象的集合体から区別されることがある。
[塩原 勉]
人々が集団をつくり、参加するのは、生活の必要上からである。第一に、個人1人では不可能な目標を協働して達成するための手段として集団は有用である。第二に、個人は集団の一体感に溶け込んで心の触れ合いを体験し、他の成員との連帯を保つことができる。第三に、集団は内と外とを区別することによって、個人を成員として防衛してくれる。第四に、集団はなんらかの独自の理念や価値体系をもっていて、個人のアイデンティティや生きがいを支え、自己実現の場を与える。このように集団は、個人の欲求充足に役だつだけでなく、社会全体を維持し秩序づけるうえで不可欠である。第一に、社会生活上のさまざまな課題を、各集団が分担して解決を図っている。分担する仕事の達成が各集団の目標になっている。第二に、希少な資源の配分をめぐって生ずる紛争に対しては、ある範囲の人々を集団にまとめて権利設定をし、所有関係を定めて解決を図る。そして必要に応じて集団の範囲を調整して社会秩序を維持するのである。しかし、社会集団は個人および社会に対してマイナスの働きをすることもある。個人の自由と集団の拘束とは両立しにくい場合があり、集団は個人を抑圧し疎外することがしばしばある。社会に対しては、各集団が自己の利益を追求するあまり、社会的分業を混乱させ、差別を助長し、紛争を激しくするという結果をもたらす。
[塩原 勉]
社会学には多くの集団類型論があるが、とくに著名なものとして、ゲマインシャフトとゲゼルシャフト、第一次集団と第二次集団、コミュニティとアソシエーション、未組織集団と組織集団などがある。現代では課題達成型の大集団が林立し、官僚制とよばれる効率本位の管理システムを発達させている。しかし、同時に他方では、人々が緊密に協力し自発的につくりだす小集団、すなわち第一次集団が社会生活の至るところに存在し、しばしば大集団に対抗したり、それを補完したりしている。
[塩原 勉]
『塩原勉他編『基礎社会学 第3巻 社会集団』(1981・東洋経済新報社)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…ある目標をもち,それを達成するために相互に活動しあい,共属していると感じている複数の人々の結合を集団あるいは社会集団という。ビジネスや教育のための集団のように,目標が明確に限定されている場合もあるし,友人の集団のようにいっしょにいること自体が暗黙の目標になるという場合もある。…
※「社会集団」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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