友愛組合(読み)ゆうあいくみあい(英語表記)Friendly Society

改訂新版 世界大百科事典 「友愛組合」の意味・わかりやすい解説

友愛組合 (ゆうあいくみあい)
Friendly Society

17世紀中葉からイギリスで発展した労働者の共済組合農民や労働者の自発的相互扶助組織で,当初は地域連帯や宗教的結合の機能も強かった。1793年法は友愛組合を合法化し,規約の基準を決めるとともに,各種の法的保護を与えた。これは貧民の相互扶助を奨励することにより,救貧法の負担を軽減しようとしたものである。友愛組合の組合員には居住制限法の適用を緩和したのも,その適例である。しかし組合費を負担できる階層は救貧法に依存する必要も少なかったから,立法趣旨のような効果は小さかった。19世紀後半の経済繁栄の時期になると,友愛組合もまた大きく発展し,家父長主義的干渉から承認と指導へ政策も変化した。友愛組合はかつての相互連帯から民間保険と同様のものに変化し,疾病死亡火災等を保険事故とするようになった。1911年,イギリス国民保険法が制定されたときも,友愛組合は強く反対し,付加給付を行う認可組合として存続した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「友愛組合」の意味・わかりやすい解説

友愛組合
ゆうあいくみあい
friendly society

17世紀後半以降イギリスで結成された職人層共済組合。ギルド制度の崩壊による生活不安に対処するためにつくられたが,1796年に友愛組合法が施行され,さらに 99年に団結禁止法が制定されてから著しい発展をとげた。当初は組合員の出資寄付による基金もとにして,組合員およびその家族に対する保険給付を行うという保険団体としての性格をもって発展したが,団結禁止法制定による労働組合の非合法化によって,友愛組合を偽装する労働組合が増大するようになった。

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世界大百科事典(旧版)内の友愛組合の言及

【イギリス】より

…勤倹節約という中産階級の美徳はしだいに労働者階級にも浸透し始めた。協同組合,友愛組合,労働組合の発展がこれを物語る。 協同組合は1844年ロッチデールから始まった運動で,当初R.オーエンの影響を受けていた。…

【共済組合】より

…組合員相互の扶助や福祉を目的として,その構成員が一定の掛金を事前に納入し,掛金の積立金から災害,失業その他の不幸や事故を受けた組合構成員に一定額の給付を行って救済しようとする非営利的な相互扶助組織をいう。イギリスでは17世紀ころから友愛組合が発展し,労働組合が非合法とされた時代には友愛組合の形態のもとで共済組合が組織された。ドイツでも17世紀ころ,職人・徒弟のツンフト金庫や鉱夫共済金庫が各地で生まれた。…

【慈善事業】より

…慈善はユダヤ教,キリスト教においても,また仏教においても重要な実践徳目の一つとして位置づけられてきた。しかしながら,それは近代市民社会の成立とともに宗教的背景を薄れさせ,産業革命以降になるといっそうその世俗化が進み,公的救済施策が未成熟な時期においては友愛組合などの相互扶助組織とともに民間の自発的な救済事業の一翼を担って重要な役割を果たした。イギリスを例にとれば,19世紀後半,世俗的な慈善事業が新興の中産階級である産業家や商人によって活発に展開された。…

【労働者福祉運動】より

…このためそれは〈自主福祉運動〉または自主的協同事業運動とも呼ばれる。諸外国における労働者の自主福祉運動は,遠く産業革命当時のイギリスの友愛組合(協会)や消費生協の運動にさかのぼることができる。だが公的福祉としての社会保険のなかに吸収された友愛組合的自主共済事業の運動に反し,消費生協運動は自立的な発展をとげる。…

※「友愛組合」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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