電気回路において抵抗値を変えられる抵抗器。通信機に使われるボリュームとよばれるものと、電動機や発電機の電流、速度、電圧などの制御に用いられるレオスタットとよばれるものとがある。
[吹野 正]
抵抗体の表面を摺動子(しゅうどうし)を移動させることによって抵抗値を変える構造となっている。抵抗体は炭素粉末と樹脂結合剤の混合物を塗布、焼付けし、馬蹄(ばてい)形に加工してあり、回転軸に連結した摺動子を回転させることにより、抵抗体の一端と摺動子の端子間の抵抗値が変化することになる。抵抗体には、ニッケル‐クロム、マンガンなどの抵抗線を巻き付けた巻線(まきせん)形がある。1990年代には、光や磁気などで電気抵抗が変化する素子が開発され、無接触の可変抵抗器がつくられている。
[吹野 正]
金属線を用いたものと、液体抵抗を用いたものとがある。金属抵抗器は、銅‐ニッケル合金または鉄を主体としたクロム‐アルミニウム合金などの抵抗線でつくられる。抵抗体の構造には、巻線状、リボン状、格子状などがある。抵抗値の加減には、磁器管に抵抗線を細かく巻き、その外面に摺動子(摺動接点)を置いて、これを移動する方式(原理的にはボリュームと同じである)、抵抗線の途中から必要数のタップを出しておき、その接点を移動する方式などがある。抵抗値を変える場合、摺動接点を用いるものは微調整ができるが、タップ式のものは段階式になる。タップ式は中電流、大電流用で、電動機や発電機の界磁調整器、電動機の始動抵抗、速度制御用抵抗として広く用いられる。
液体抵抗器は、炭酸ソーダの水溶液に鉄系または銅系の電極を挿入し、極間距離または挿入の深さを変えることにより無段階に抵抗値を変えられ、巻線形誘導電動機の二次抵抗制御などに用いられる。
[磯部直吉]
…抵抗値(Ω)と許容消費電力(W)によって特徴づけられる。使用目的からは,電力用の大型なものと,電子回路用の小型なものに大別でき,また機能面からは抵抗値を加減できる可変抵抗器と,一定の抵抗値を与える固定抵抗器に分類される。
[構造]
抵抗器は一般に,電気抵抗を生ずる抵抗体,それを支持する絶縁基体,回路に接続するための端子,これらを外界から守るための保護部分の四つからなる。…
※「可変抵抗器」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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