1999年9月21日1時47分(日本時間2時47分)ごろ、台湾中部南投県集集(チチ)付近(北緯23.8度、東経121.0度)を震源として発生した表面波マグニチュード(MS)およびモーメントマグニチュード(MW)7.7の大きな地震。集集地震ともよばれている。この地震により、約2400人の死者を出した。台湾は、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートが衝突している所で、ユーラシアプレートの東縁に位置している。これら二つのプレートの境界にあたる台湾東方沖は地震活動の活発な所で、多くの地震が発生している。フィリピン海プレートがほぼ北西方向に動いているため、台湾には東西圧縮の力が加わり、内陸部にはほぼ北北東―南南西走向の多くの活断層が存在し、やや大きい地震もときどき発生する。20世紀だけをみても、1906年の嘉義地震(かぎじしん)(M6.8)では死者約1000人の被害があり、1935年の苗栗地震(びょうりつじしん)(M7.1)では死者約3000人におよぶ大きな被害があった。これらの地震では、いずれも地表に地震断層が現れている。1999年の地震でも、ほぼ南北方向に長さ約60キロメートルにわたって地表地震断層が現れた。断層は東側が西側に乗り上げている逆断層で、上下方向の断層のずれは大きい所で4~8メートルにおよび、断層上の建物は多くが倒壊した。地震記録の解析から、この地震では破壊が震源から北方に伝播(でんぱ)したという結果が報告されている。このため、南投県の北に位置する台中県や苗栗県、台中市などで建物全半壊などの被害が相対的に大きくなったと思われる。
[長宗留男・山下輝夫]
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