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合いことば あいことば

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

合いことば
あいことば

戦場における混乱、とくに夜戦のそれを防ぐために、敵味方を識別する目的で用いられることば。英語ではcountersign, pass wordといい、フランス語ではmot d'ordre, mot de passeという。暗号ともいう。ある特定の意味をもったことばや、発音に際だった特徴のあることばが用いられる。『日本書紀』「天武(てんむ)天皇 上」の巻に、大友皇子(おおとものおうじ)方の武将田辺小隅(おすみ)が敵の大海人皇子(おおあまのおうじ)方の武将田中足麻呂(たりまろ)と夜戦を交えた際、「金(かね)」の合いことばを用い、足麻呂方の軍卒と自軍のそれとを識別させたが、足麻呂は早くこのことに気づき、ただ1人難を免れた、との記載があり、これが日本における合いことばの初例と思われる。江戸時代に、赤穂(あこう)義士が主君の仇吉良上野介(あだきらこうずけのすけ)の邸に討ち入った際、「山」と「川」の合いことばを用いたと伝えられるが、浄瑠璃(じょうるり)『仮名手本忠臣蔵』では、浪士の討入り装束を調えた商人天川屋義平の屋号をとって、「天」と「川」となっている。
 外国では『旧約聖書』「士師記」第12章に、エフライム人を破ったガラアド人が、逃げて行くエフライム人を捕らえ、「シボレテ」Shibboleth(ヘブライ語で「麦角」)といわせ、「セボレテ」としか発音できないエフライム人を識別した、との記載がある。これに類したものに第二次世界大戦中の1942年1月、日本軍に追われて大混乱のバターン半島(フィリピン)撤退作戦中のアメリカ軍が、lollapaloosa(米語「驚くべきできごと」)を合いことばとし、日本人がこれをrorraparoosaとしか発音できないことによって、味方を識別した例がある。
 なお、特定の社会や集団だけの間で通用する、特殊な意味をもったことば(隠語)や、ある主張や行動の旗印として使われることば(標語)も、合いことばの語でよばれる例も多い。[宇田敏彦]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

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