合成化学(読み)ごうせいかがく(その他表記)synthetic chemistry

日本大百科全書(ニッポニカ) 「合成化学」の意味・わかりやすい解説

合成化学
ごうせいかがく
synthetic chemistry

元素単体または簡単な化合物を原料として各種の化合物を合成する化学をいう。たとえば無機化合物では、窒素水素とからアンモニアをつくり、これを酸化して硝酸としたり、またそれらから硝安をつくったり、あるいは各種の錯塩をつくったりする化学である。また有機化合物でも試薬染料、医薬品その他各種の化合物を合成する広い分野がある。

 これらの合成はとくに工業的に実施されるとき、化学工業のなかできわめて重要な分野を占める。たとえば無機合成化学工業では、アンモニア、硝酸、塩酸硫酸、尿素、合成ゼオライト、合成雲母(うんも)など、また、有機合成化学工業では、染料でインジゴ、医薬品でビタミン類、調味料でグルタミン酸ナトリウム香料バニリン、洗剤で合成洗剤、そのほか合成ゴム、プラスチック、合成繊維あるいはメタノールメチルアルコール)、酢酸など各種のものがある。

[中原勝儼]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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