硝安(読み)ショウアン

化学辞典 第2版「硝安」の解説

硝安
ショウアン
ammonium nitrate

硝酸アンモニウム(肥料)の略称.主成分NH4NO3,N = 32~34%.窒素肥料の一つ.アンモニア硝酸とを常圧または加圧下で中和してつくる.常圧式では45% 硝酸にアンモニアを加える.中和熱で100~110 ℃ になる硝安液(65%)の一部を中和槽で再使用し,ほかを135 ℃ 以下の温度で蒸発して90% に濃縮する.加圧式では硝酸の沸点上昇のもとで中和反応を行わせ,中和熱を利用して槽内温度を155 ℃,4 atm に保つ(Fauser式).原単位は硝安1 t に対しアンモニア212 kg(100%),硝酸1480 kg(53%),肥効性はすぐれている.しかし,吸湿性と流亡性が大きいため,わが国では適さないが,配合肥料の成分として重要になった.防湿に工夫がなされ,油脂で覆ったり,石灰と混合して硝安石灰としたり,硫安(硫酸アンモニウム)を硝安の熱濃厚溶液に加えて硫硝安としている.無色,斜方晶.-18 ℃ 以下で正方晶,32.1 ℃ で別な斜方晶へ,84.2 ℃ で正方晶,125 ℃ で立方晶へと転移する.密度1.725 g cm-3.用途は窒素肥料,爆薬原料など.[別用語参照]化学肥料化成肥料

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精選版 日本国語大辞典「硝安」の解説

しょう‐あん セウ‥【硝安】

〘名〙 窒素肥料の一つ。硝酸アンモニウムの工業製品としての略称。吸湿性がはげしく、潮解、固化しやすい。速効性の肥料として用いられるが、流亡性が大きく水田には適さない。酸化性、爆発性があり、爆薬の原料にもなる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)「硝安」の解説

硝安
しょうあん

肥料や爆薬などの原料として使われる化学合成物質である。硝酸アンモニウムのことで、純粋のものは結晶水のない無色の結晶で、理論的な窒素の含量は35%である。しかし吸湿性が大きいため肥料用硝安には固結防止剤として界面活性剤や選択吸湿剤を添加するので、公定規格ではアンモニア性窒素、硝酸性窒素とも16%以上となっている。硝安は油と混合しただけで爆薬として使われるほど爆発性をもつので有機物との混合については注意が必要で、法的にも危険物の規制を受ける。しかし肥料としては生理的中性の速効性肥料であり硝酸もアンモニウムもともに作物に吸収され、土壌中に悪影響を残さないという環境保全型の優れた特徴がある。ただし、硝酸態窒素を含むので水田には適さず、野菜や果樹などの畑作物に適した肥料である。

[小山雄生]

『佐々宏一著『火薬工学』(2001・森北出版)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「硝安」の解説

硝安
しょうあん
ammonium nitrate

硝酸アンモニウムの工業的呼称。化学式 NH4NO3 。無色結晶。融点 169.5℃,約 220℃で分解。水に発熱しながら多量に溶ける。爆薬の原料でもある (→硝安爆薬 ) 。窒素含有量は理論値で 35%であるが,肥料用製品としては 32~34%で,半分ずつがアンモニア性窒素硝酸性窒素である。肥料として速効性で,流亡性が大きく,硫安に比べると窒素分は 1.5倍で,無効成分が含まれていない。しかし爆発性であるため,取り扱いには十分な注意が必要。工業的製法としては,硝酸にアンモニアを加える。この製法には常圧中和法と加圧中和法がある。

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世界大百科事典 第2版「硝安」の解説

しょうあん【硝安】

硝酸とアンモニウムの結合した窒素肥料。このほかに硝安と炭酸カルシウムを混合した硝安石灰,硫安と硝安の混合した硫硝安,硝安と塩化カリを反応させた硝安カリ,硝安・リン安・塩化カリを溶融したニトロホスカNitrophoska(商品名)および硝安・アンモニア・尿素を溶解し液状肥料としたものなどが硝安系肥料として用いられている。これら肥料の消費量は全窒素肥料の2%弱を占めるにすぎない。これは硝安系肥料が吸湿性であること,貯蔵中に変質しやすいこと,また爆発物の指定を受け,取扱いに規制をうけることなどが原因である。

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世界大百科事典内の硝安の言及

【硝酸アンモニウム】より

…化学式NH4NO3。工業部門では通常,硝安と呼ばれる。また窒素肥料としての正式名称は硝酸アンモニアである。…

【窒素肥料】より

… 硫安のようなアンモニウム塩の肥料は速効性なので元肥にも追肥にも用いられるが,土を酸性化しやすく,またアルカリ土壌に施用したり石灰肥料と混合するとガスになって揮散する。硝安など硝酸態の肥料も速効性で元肥にも追肥にも利用される。土を酸性化しないで,むしろアルカリ性にするが,水田に施与すると脱窒によって揮散するので用いない。…

※「硝安」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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