吉原城(読み)よしわらじよう

日本歴史地名大系 「吉原城」の解説

吉原城
よしわらじよう

吉原湊に近接して築かれていたと思われる中世の平城。駿河湾に面する現鈴川すずかわから今井いまいにかけての辺りにあったと推定される。連歌師宗牧の「東国紀行」に、「駿・豆さかひ不通なれは、吉原城主かのゝすけ松田弥次郎方へ」とあり、宗牧は今川氏と北条氏の河東一乱の渦中の天文一四年(一五四五)正月から熱海湯治に出かけるため、朝比奈三郎兵衛尉から当城主狩野介「松田弥次郎」方へ飛脚を派遣してもらったうえで出発した。蒲原かんばら(現蒲原町)から乗船し、敵地への送りなので警固船に兵具を入れて、多くの兵を乗せ、一里ほど行くと吉原城近くに達した。船を見つけた吉原城から足軽が出てきて船を磯に着岸させ、荷物まで降ろさせられた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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